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都市型産地「大阪ワイン」にブランドのお墨付き

国の「地理的表示(GI)」を取得した大阪ワイン=9月1日、大阪府羽曳野市の府立環境農林水産総合研究所(南雲都撮影)
国の「地理的表示(GI)」を取得した大阪ワイン=9月1日、大阪府羽曳野市の府立環境農林水産総合研究所(南雲都撮影)

大阪府内で醸造される「大阪ワイン」が今夏、地域の食品などのブランドを保護する国の「地理的表示(GI)」を取得した。府内産の特定のブドウを原料に一定の製法を守ることが条件で、ワインの認証は全国で3例目。府内の複数のワイナリーが8月、既存の9銘柄にGIのロゴマークを付けて売り出した。都市部に近い生産地の利点を生かし、あの手この手で知名度アップを図っている。

国のお墨付き

ビルの谷間を高速道路が通る大阪市中心部から南東に車を約30分走らせると、情景は一変。大阪府柏原市のカタシモワイナリーには鮮やかな紫や黄緑の実が鈴なりのブドウ畑が広がる。

ワイナリーを運営するカタシモワインフード社長で、大阪ワイナリー協会会長の高井利洋さん(70)は収穫したばかりのブドウを手に「世界に発信する国のお墨付きを得た。知名度アップの起爆剤にしたい」と声を弾ませた。

同ワイナリーのスパークリングワインは、フルーティーな香りと心地よい酸味が感じられ、爽やかな口当たりで飲みやすいのが特徴だ。

大阪ワインは6月末、山形、長野のワインとともにGIに登録された。山梨と北海道に続き3例目で、ワインの認証は5道府県に。大阪でのGI取得は今回が初めてだ。

原料は36品種

GIは生産地と深く関わる農林水産物や食品の名称を知的財産として保護する仕組み。世界貿易機関(WTO)が地理的表示の保護を加盟国の義務とし、日本は平成6年に制度化した。

取得すればロゴマークを表示でき、ブランド価値が向上する。一方、国内で不正表示をした団体や個人には地理的表示法に基づき、懲役や罰金などの罰則が適用される。

大阪ワイナリー協会によると、GIを表示できるのは、府内で取れた特定のブドウを原料とし、府内で製造から瓶詰めまでの工程を完了するなどの条件を満たしたアルコール度数9%以上のワインに限られる。

新品種のブドウを手にするカタシモワインフードの高井利洋社長=9月1日、大阪府柏原市(南雲都撮影)
新品種のブドウを手にするカタシモワインフードの高井利洋社長=9月1日、大阪府柏原市(南雲都撮影)

原料のブドウには、糖度が高い「デラウェア」や、漆黒に近い赤ワインに加工される「大阪R N―1」など大阪オリジナルを含む36品種がある。高井さんは「欧州産のコピーではない個性的なワインで世界と勝負したい」と力を込める。

「復権のチャンス」

府立環境農林水産総合研究所(環農水研、羽曳野市)によると、大阪は昭和初期に国内最大規模のブドウ栽培面積を有していたが、戦後の都市化に伴い縮小。農林水産省によると、令和2年産のブドウ出荷量は、山梨県の3万3400トンが全国1位で、大阪府は3750トンで8位にとどまる。協会の担当者は「生産地として規模が小さい大阪がGIに登録されたのは画期的。復権のチャンスだ」と息巻く。