タリバンが米軍の兵器を大量入手 テロ利用などに警戒の声 - 産経ニュース

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タリバンが米軍の兵器を大量入手 テロ利用などに警戒の声

アフガニスタン駐留米軍撤退後、首都カブールの空港を警備するタリバン=8月31日(ゲッティ=共同)
アフガニスタン駐留米軍撤退後、首都カブールの空港を警備するタリバン=8月31日(ゲッティ=共同)

【ワシントン=黒瀬悦成】アフガニスタン駐留米軍の撤収に伴い、米軍が現地に遺棄したりアフガン国軍に供与したりした大量の米国製兵器が、アフガンの実権を掌握したイスラム原理主義勢力タリバンの手に渡っている実態が判明した。

米議会では、タリバンの戦闘能力が強化される一方、タリバンに近いテロ組織がこれらの兵器を使って米国や同盟諸国に攻撃を仕掛ける恐れが出てきたとして国防総省に対応を求める声が上がるなど、波紋が広がっている。

タリバンは1日、アフガン南部の主要都市カンダハルで対米戦争の「祝勝」パレードを実施。MRAP(耐地雷・伏撃防護車両)やハンビー(高機動多用途装輪車両)など米軍が残した車両にタリバン戦闘員が乗り込み、シンボルの白い旗を振って気勢を上げた。

パレードでは、奪い取った米国製の多用途ヘリUH60「ブラックホーク」の展示飛行も行われた。

米政府はアフガン国軍に対し、ハンビー約2万2千両、MRAP155両、小型車両約4万2千両に加え、自動小銃約36万丁、重機関銃約6万丁、拳銃約13万丁を供与したとされる。

このうちどれだけがタリバン側に渡ったかは明確でないが、現地からの映像では米軍またはアフガン軍の戦闘服に身を包んだタリバン戦闘員が米国製のM4小銃や狙撃銃を携行している姿が多数確認されている。

また、民間の軍事ブログ「オニキス」は、各種の画像や映像を解析した結果、タリバンが稼働状態にある航空機38機とヘリ13機、無人機7機を手に入れたとの分析を明らかにした。

米軍は、タリバンが航空戦闘能力を確保するのを阻止するため、航空機のエンジンや電子機器を念入りに破壊したとされる。

また、タリバンが飛行可能な航空機を入手したとしても、機体の整備と部品の調達、搭乗員の訓練で行き詰まり、まともに運用できないとの指摘もある。

一方で、タリバンへの影響力行使を目指す中国やロシアなどが整備や操縦に関しタリバンを支援する可能性があるとの見方も根強い。共和党の上院議員25人は2日までに国防総省に書簡を送り、アフガン国軍に昨年供与した兵器の全容や撤収前に破壊した兵器の総数、タリバンに渡った兵器の実態などについて調査し回答するよう求めた。

米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は1日の記者会見で、タリバンと敵対しているとされるイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」系の武装勢力「ホラサン州」(IS-K)の掃討でタリバンと連携する可能性があると指摘しており、タリバンが奪い取った兵器の運用を米軍が支援する事態を想定する声も出始めている。