20年以内に3割超す空き家、処分は一刻も早く - 産経ニュース

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20年以内に3割超す空き家、処分は一刻も早く

略式代執行による撤去作業前の空き家。屋根の一部が剝がれ落ちている
略式代執行による撤去作業前の空き家。屋根の一部が剝がれ落ちている

少子化が進み人口減少が続くなか、空き家が増え続けている。相続人がおらず、空き家となった住宅は倒壊し、近隣の家や道路に危険が及ぶ恐れもあり、自治体が所有者に代わり建築物を取り除く略式代執行が行われている。総務省の統計によると、昭和63年に394万戸だった空き家は、平成30年に848万戸と2倍超に。岡山市は空き家率が14・5%と、全国の政令指定都市で3番目に高く、担当者は「今後も人口減少は続く。親が亡くなったなどの事情で住むことのない家を相続している場合は、早めの処分を心がけてほしい」と呼びかけている。

撤去作業の進む空き家。屋根瓦などが取り除かれている
撤去作業の進む空き家。屋根瓦などが取り除かれている
剝がれ落ちた屋根

「ただ今から、所有者等不明の特定空き家について、空き家対策特別措置法に基づき、岡山市が建築物および、雑木の撤去、動産の除去の措置を行います」

8月下旬、岡山市南区の空き家を前に、市職員が宣言すると、作業員が足場を組む作業に取りかかる。自治体が認定した倒壊の恐れなどがある「特定空き家」に対し強制撤去を可能にした「空き家対策特別措置法」に基づく略式代執行の光景だ。同市では4例目となる。

特定空き家に認定された家屋について所有者に代わって行政が強制的に解体をすることを、行政代執行というが、その所有者が特定できない場合、略式代執行という手続きをとる。費用は、いったん自治体が負担し、所有者が確認できれば、請求するという仕組みとなっている。

撤去されるのは、建築年不明のいずれも木造平屋の母屋と納屋(計95・6平方メートル)。平成23年に住民が死亡し、親族全員が相続放棄したことによる管理者不在の物件だ。

屋根の一部は瓦が剝がれ落ち、納屋の窓ガラスは割れ、土壁や敷地内では草木が伸び放題となっており、倒壊などの恐れがあると周辺住民が以前から訴えていた。建物の解体や庭木の除去は1カ月以上かかる見込みという。

政令市で3番目

総務省統計局の「平成30年住宅・土地統計調査」によると、昭和63年に394万戸(空き家率9・4%)だった空き家は、平成30年に848万戸(同13・6%)と2倍超に増加。岡山市の空き家率は14・5%で、大阪市の17・1%、北九州市の15・8%に続き、全国の3政令指定都市で3番目に高い。

空き家率で上位に共通するのは、高度成長期に発達した戸建て住宅が多い都市だ。空き家率1位の大阪市は地下鉄・地下街に直結するタワーマンションも多いが、西成区(22・5%)や東住吉区(21・8%)などで空き家率が特に高くなっている。

岡山市の中心部である岡山駅周辺は、東西へ新幹線が通じ、四国などへの鉄道の発着点となる交通の要衝で、商業施設やオフィスビルも並ぶが、駅から徒歩10分内にも住宅街があり、マンションも増えてはいるものの戸建て住宅も多い。

3割超の試算も

野村総合研究所が昨年6月発表した住宅市場分析では、空き家の撤去が進まなかった場合、令和20年の全国の空き家率は30・5%になると試算している。

少子高齢化、人口減少が進む中、誰も住むこともない住宅を所有していても、好条件での賃貸・購入の希望者が現れることは期待しづらい。人が住まなくなり、傷んだ空き家は、周囲の住宅や道路などに危険を及ぼす可能性もある。

岡山市建築指導課は「住む人がいなくなった時点で、自治体の空き家相談窓口を活用し、早い段階での処分を考えてほしい」と話している。(高田祐樹)