コロナ対策、飲食・観光業は恨み節 菅首相退陣 - 産経ニュース

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コロナ対策、飲食・観光業は恨み節 菅首相退陣

渋谷のスクランブル交差点では菅首相が総裁選不出馬を表明したことを伝えるニュースが流れていた=3日午後、東京・渋谷(三尾郁恵撮影)
渋谷のスクランブル交差点では菅首相が総裁選不出馬を表明したことを伝えるニュースが流れていた=3日午後、東京・渋谷(三尾郁恵撮影)

菅義偉(すが・よしひで)首相が3日、突如退陣を決断した。就任以降、長引く新型コロナウイルス禍への対応に追われたが、酒類提供の自粛を強いられ続けた飲食店や、客足の戻らない観光地からは恨み節が相次いだ。逼迫(ひっぱく)する医療体制の立て直しや感染収束の切り札に掲げたワクチン接種も道半ばで、次期政権に持ち越される。

「感染者が増えれば締め付けを厳しくし、減れば緩めるというその場しのぎの対策が目立った」。東京都新宿区歌舞伎町で和食料理屋「ゆいまーる」を経営する佐藤知英子さん(46)は、菅政権の1年間をこう振り返る。

同店は酒類提供の自粛要請に応じ続け、現在は休業中。佐藤さんは「政治を信頼できなくなった」とし、次の首相には「国民が安心できるよう、コロナ収束と経済活動再開への道筋をしっかり示してほしい」と注文をつけた。

誰が首相でも…

新型コロナウイルス禍で苦境に立たされた飲食業界は厳しい反応が目立つ。

都内でチェーン展開するJR新橋駅近くの和食居酒屋では、男性従業員(38)が「首相の感染対策は、飲食店ばかりをいじめすぎではなかったか」と不満を口にした。同店は6月から酒類提供を再開、現在は午後11時まで営業しており、「1人飲みを許容するなど、もっと柔軟な政策をとってほしかった。次の首相には、飲食店に親身になってほしい」と訴えた。

一方、同駅に直結するビルに入居する居酒屋「韓兵衛 新橋店」の店長、駒沢沙俊さん(30)は「コロナは今まで誰も経験したことがない事態。誰が首相でも同じだったのではないか」と同情を寄せる。

緊急事態宣言の発令で開店が2月から5月にずれ込み、現在はランチのみ営業。「飲食店への補償の遅れなど、政策が全て後手後手に回っている気がして残念なところはあったが、正直、感染は怖い。今置かれている状況でなんとかするしかない」と話した。

観光業界も県境をまたぐ移動の自粛や、首相肝いりの観光支援事業「Go To トラベル」などに振り回されてきた。

神奈川県箱根町の「月廼屋旅館」の神保伸一社長(65)は首相の政治姿勢を「一生懸命さは伝わったが、いろいろな人の意見を聞きすぎて八方美人になり、何も決められなかった」と指摘。「30、40点」と辛口の採点をつける。

同館の利用客はコロナ前から約8割減少。「Go To」では約1割戻ったものの、効果を実感できなかった。次の首相には「観光業界にも補助金を出した上で人の流れを断ち、感染者を減らす取り組みをしてほしい」と要求した。

指導力なかった

「夏から秋にかけての観光シーズンは普段だったらかきいれ時なのだが…」と嘆息するのは群馬県草津町の「桐島屋旅館」の中沢芳章社長(71)。「東京などから観光地に行けない雰囲気は変わらず、首相の指導力もないように感じた」といい、新しいリーダーには「感染が落ち着けば観光地に人は戻ってくる。まずは全国的に感染者を減らすことを最優先にしてほしい」と期待を込めた。

新型コロナのワクチンが行き届かない若者からも、不満の声が漏れた。

品川区に住む大学1年の七條則人さん(19)は居住地での予約が取れず、すがる思いで都の若年層向け接種会場を開設初日に訪れたが、希望者が殺到し、接種できなかった。その後も抽選に外れ続けており、「ワクチン接種をもっとスピード感をもって進めてほしかった」と話した。