【主張】池袋暴走に実刑 判決を高齢事故減の機に - 産経ニュース

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池袋暴走に実刑 判決を高齢事故減の機に

若い母親と3歳の長女が亡くなった高齢者の運転による乗用車の暴走事故で、東京地裁は90歳の被告に禁錮5年の実刑判決を言い渡した。

被害者にとってはもちろん、加害者にとっても事故の結果は重大であり悲劇である。この機に、自身が加害者とならないためにはどうすればいいか、真剣に考えてほしい。

自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた被告は「アクセルを踏んでいないのに加速した」などと過失を認めず、無罪を主張していた。だが判決は「ブレーキとアクセルを踏み間違える過失があった」とこれを退け、「踏み間違いに気づかないまま自車を加速させ続けた過失は重大である」と認定した。

母子2人が死亡し、9人が重軽傷を負った痛ましい事故である。事故当時87歳だった被告は一貫して操作ミスを否定し、被害者遺族らは強く反発してきた。裁判長は判決の読み上げ後、「判決に納得するなら、責任と過失を認め、遺族に真摯(しんし)に謝っていただきたい」と被告に語りかけた。

事故は高齢者の運転による重大事故として、社会的にも大きな反響を呼んだ。平成10年にスタートした運転免許の自主返納制度では令和元年に、前年から18万件近く増えて過去最高の60万件を超え、池袋暴走事故の影響とされた。

事故をきっかけに昨年6月、道交法が改正され、来年6月までに施行される。改正道交法では、速度超過や信号無視、逆走といった特定の違反歴のある75歳以上の人に運転技能検査(実車試験)を義務化する。また、自動ブレーキなど先進安全機能を備えた「安全運転サポート車」に限って運転できる限定免許も創設される。

だが、2年前に過去最高を記録した自主返納は昨年、約55万2千件と再び減少に転じた。池袋暴走事故から時間が経過し、影響が薄れたことも原因とみられた。喉元過ぎて熱さを忘れたということなのだろう。

この機に免許返納などについて、家族と話し合ってほしい。誰しも加齢とともに反射や判断能力には衰えが生じる。個人差はあるが、過信は禁物である。死亡事故の人的要因では、75歳以上の39%はブレーキとアクセルの踏み間違いといった「操作不適」であるとのデータもある。事故が起きてからでは遅い。