「クアッド」への影響懸念も 海外メディア速報 - 産経ニュース

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「クアッド」への影響懸念も 海外メディア速報

菅義偉首相の総裁選不出馬のニュースを伝えるJR秋葉原駅前の街頭テレビ=3日午後、東京都千代田区(酒巻俊介撮影)
菅義偉首相の総裁選不出馬のニュースを伝えるJR秋葉原駅前の街頭テレビ=3日午後、東京都千代田区(酒巻俊介撮影)

菅義偉(すが・よしひで)首相の自民党総裁選への不出馬を韓国や欧州など各国のメディアは「衝撃的な発表」(英BBC放送)と相次いで速報した。退任の理由となった支持率の低さについては、新型コロナウイルス対策の不手際や東京五輪の開催決定に帰す見解が目立った。

韓国の聯合ニュースは、コロナの感染拡大が収まらない中、菅氏が「質問とかけ離れた答弁を繰り返し、有権者が指導力に疑問を抱いた」と分析。「ワクチンの効果を過信した菅は、専門家の警告を無視して東京五輪開催を強行したが、情勢を変えられなかった」と報じた。

ソウル新聞も東京五輪に言及。「批判を押し切って五輪開催を強行し、反転攻勢を図った」ものの、「開催国として歴代最高の成績を挙げた喜びもつかの間、(1日当たりの)感染者数が2万人台に上るなど状況が深刻化し、支持率が急落した」と伝えた。

BBCはコロナの対応などで「(菅氏の)支持率が過去最低になったことを受けて判断された」と背景を説明。

そのうえで「日本は現在、累計150万人以上のコロナの感染者が出ており、ワクチン接種の展開も遅れている」と指摘した上で「感染状況が悪化しているにもかかわらず、東京五輪の開催を決定したことも国民の大きな不評を買った」と指摘した。

英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は、東京五輪開催後も、菅氏の支持率は回復せず「首相の影響力は失われ始めた」と強調。菅氏が就任後約1年で辞任する見通しになったことを受け「(安倍晋三政権時代は)日本の政治は安定していたが、不安定な政治が復活した」との見方を示した。

ロイター通信は、菅氏の任期満了に伴う総裁選について触れ、河野太郎ワクチン担当相が出馬する可能性があるとして、「(国民の)人気が高い」と評価した。

仏経済紙レゼコー(電子版)は3日、菅氏は安倍晋三前首相のかつての側近で、「舞台裏で他人の決定を実行し、官僚に圧力をかける能力で知られていたが、(首相となってから)新型コロナウイルス禍への優柔不断な対応で強く批判されていた」「情報発信はあいまいで、カリスマに欠けた」と伝えた。

日本のコロナ感染は米欧ほど悪化しなかったが、検査数は低く、入院先探しに苦労するような状況で、「国民の不満は高まり、首相の人気が下落した」と続投断念に至った背景を説明した。

ロシアのイタル・タス通信は、菅氏が「新型コロナウイルス対策に専念するため総裁選に出馬しない」と述べたと伝えた上で、「自民党内には、支持率の低い菅首相の下で次期衆院選を戦えば敗北するとの危惧が広がっていた」とする日本メディアの分析を引用した。また、新型コロナ対策への不満から一部世論調査では内閣支持率が30%以下まで低下していたとした。

大手オンライン新聞「ガゼータ・ルー」も菅氏の総裁選不出馬を速報。2日から極東ウラジオストクで開かれている露主催の国際会議「東方経済フォーラム」に言及し、安倍氏はフォーラムに4回出席したが、菅首相は招待されなかったとの理由で出席しなかったと伝えた。フォーラムはこれまで日露首脳会談の場となってきた。

オーストラリアの経済紙オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー(AFR)は、菅氏の退場が日米と豪州、インドの4カ国の協力枠組み「クアッド」に与える影響を懸念した。

米国は今秋にも対面形式で初めてとなるクアッド首脳会議を開催する方向で調整している。AFRはコロナ禍で「首脳がすぐに集まることが難しくなっている」と指摘した上で、「(首脳会議の)計画は混乱に陥っている」と報じた。(ソウル 時吉達也、ロンドン 板東和正、パリ 三井美奈、モスクワ 小野田雄一、シンガポール 森浩)