競泳木村、渇望の金メダル「この日のために」 - 産経ニュース

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競泳木村、渇望の金メダル「この日のために」

【東京パラリンピック2020】<競泳男子100メートルバタフライ 視覚障害S11決勝>メダルセレモニー 涙を流す木村敬一=東京アクアティクスセンター(桐原正道撮影)
【東京パラリンピック2020】<競泳男子100メートルバタフライ 視覚障害S11決勝>メダルセレモニー 涙を流す木村敬一=東京アクアティクスセンター(桐原正道撮影)

東京パラリンピック第11日の3日、競泳の男子100メートルバタフライ(視覚障害S11)で木村敬一(東京ガス)が4大会目で初の金メダルを獲得した。

「この日のために頑張ってきた〝この日〟って、本当にくるんだな。すごい幸せです」。男子100メートルバタフライ(視覚障害S11)を制した木村が、待ち焦がれた金メダルを自らの手で首にぶら下げ、会場に流れた君が代に感極まった。

最高のレースだった。スタートから快調に飛ばし、トップで折り返す。最後まで力強く泳ぎ、先頭を譲らなかった。ゴール後、隣のレーンで2位に入った富田と笑顔で抱き合った。

過去3大会で銀、銅合わせて6個のメダルを持つ。今大会で銀1つを加えても、気持ちは満たされなかった。「世界に自分より強い人がいない事実がほしい」。金メダルだけを渇望して東京大会を目指した。

悲願成就へ米東海岸の港町・ボルティモアに拠点を移したのは2018年春。英語を話せなかったが、同じ視覚障害の金メダリストを育てた米国人コーチに師事するためだった。現地では元大リーガーの上原浩治氏の家族が自宅に泊めてくれるなどサポート。全盲スイマーの異国での挑戦に感嘆した上原氏からは「敬ちゃん」と親しみを込めて呼ばれ、今も交流が続く。

2歳のとき、先天性疾患で視力を失った。小学4年から、母の正美さんに連れていってもらったスイミングスクールで、友達と競うように泳いだ。「真っ暗」な水中を1秒でも速く、誰よりも速くゴールを目指して競技人生を切り開いた。

今大会は前回の5種目から、3種目に絞った。19年世界選手権を制したこの種目は大本命だった。コロナ禍で米国の拠点が閉鎖され、20年3月に帰国後も努力を積み重ねた。競技最終日。ついに「金メダリスト」の称号を手にした。(田中充)

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