「コロナ対策全う」去る菅首相の言葉、現場はどう受け止めた - 産経ニュース

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「コロナ対策全う」去る菅首相の言葉、現場はどう受け止めた

菅義偉首相の総裁選不出馬を伝える街頭ビジョン=3日午後6時、大阪市北区(須谷友郁撮影)
菅義偉首相の総裁選不出馬を伝える街頭ビジョン=3日午後6時、大阪市北区(須谷友郁撮影)

新型コロナウイルス感染拡大の収束が見通せない中、菅義偉(すがよしひで)首相(自民党総裁)が3日、総裁選に立候補しない考えを示した。理由は「コロナ対策を全うしたい」。それぞれの現場でコロナと直面する人たちは、首相の言葉をどう受け止めたのか。

評価する声も

大阪府が昨年立ち上げた重症者向け臨時施設「大阪コロナ重症センター」(大阪市住吉区)。重篤な高齢患者も搬送される最前線で3月下旬まで勤務していた看護師の女性(44)は「医療逼迫(ひっぱく)などは今も変わっていない。(菅首相は)あたふたと対応しているような印象がぬぐい切れなかった」と話す。

看護師不足の現状を知り、「他人任せではいけない」とセンターでの勤務を志願した。激務を経験し、「社会が混乱しないよう方向性を示し、手を打っていくのが政治の力」とも痛感する。別の医療現場でワクチン接種やPCR検査などの業務に携わる今も、状況の改善は感じない。「次の首相には先手を打つ対策をお願いしたい」と求めた。

軽症・中等症患者を受け入れる大阪暁明館(ぎょうめいかん)病院(大阪市此花区)の西岡崇浩本部長は、菅政権に多くの批判があったことを踏まえながらも、「(政府が)適切に補助金を捻出してくれたおかげで、病院内にコロナ患者用の陰圧室も整備できた」と評価する。

積極的に進んだワクチン確保により、重症患者の激減も感じる。「これからが抑制に向けた重要なタイミング」と西岡本部長。「対策を全うしたい」との言葉通り、菅首相が残る任期中もコロナ対策に全力投球してほしいと願った。

存在感薄く

一方、飲食店関係者からは手厳しい声が上がった。「リーダーシップもなかったし、しゃきっとしていなかったから仕方ない」。大阪市福島区の居酒屋「鶏海山の幸おかだ」の店主、岡田利勝さん(56)は指摘する。

営業時間の短縮や休業、酒類提供の自粛要請に振り回される日々。出口の見えない現状を嘆きつつ、「(菅首相は)後手後手で、小出しの政策に終始していた」と振り返る。

リーダーのメッセージが重みを失う中、自粛要請に耳を貸さない店が増えていき、「まじめがバカを見る状況になった」(岡田さん)。次のリーダーにはしがらみのない、思い切りのあるコロナ対策を期待する。「国民が弱っているときだからこそ、リーダーには強く引っ張ってほしい」

「ウイルスに打ち勝った証」。菅首相が以前、開催の意義をこう打ち出していた東京五輪・パラリンピックに列島は沸いた。東京パラリンピックの柔道男子100キロ級に出場した松本義和選手(59)は1勝もできず敗退したが、「大会を開催してくれたこと自体には大変感謝している」。一方、「首相にはもう少し存在感を示してもらいたかった」とも言及し、「(菅首相は)大会に少し関心が薄いように映った」と話した。