【鬼筆のスポ魂】元新人王「高山」を現役ドラフト「超目玉商品」にするな 植村徹也 - 産経ニュース

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元新人王「高山」を現役ドラフト「超目玉商品」にするな 植村徹也

2軍戦で安打を放つ阪神・高山俊=鳴尾浜(代表撮影)
2軍戦で安打を放つ阪神・高山俊=鳴尾浜(代表撮影)

ブレークスルードラフト(現役ドラフト)の「超目玉商品」にならないためにも、阪神の高山俊外野手(28)は優勝争いの中で復活しなければならない。矢野燿大(あきひろ)監督ら首脳陣も1軍戦力に戻す手腕を発揮するべきだ。

巨人、ヤクルトとの激しい優勝争いが続く阪神は3日から、本拠地甲子園球場で巨人との3連戦。7日からはヤクルトと同じく本拠地で3連戦。16年ぶりの優勝を実現するには、負けられない戦いが続く。

東京五輪による中断期間が明けた後、8月は7勝9敗。4位以下との対戦だったが、苦戦の連続だった。前半戦の進撃を支えたルーキー、佐藤輝明が打撃不振に陥り、大山悠輔も不振で4番から外された。投手力にも陰りが見られる中で、得点能力の向上こそが再進撃のポイントだ。

そんなチームの状況下で注目するのが、2軍でくすぶる高山だ。今季は1軍出場はなし。2軍でも83試合に出場し、打率2割1分1厘、3本塁打、23打点(1日現在)。打撃の状態は上がらない。2015年のドラフト会議の1位指名で入団し、ルーキーイヤーの16年は134試合に出場して打率2割7分5厘、8本塁打、65打点で新人王。秘めたポテンシャルはあるはずだが、阪神OBは「打席の中で自分の打撃フォームやスイングばかりを気にしている。相手投手を打つ!という闘争心が見えない」と指摘していた。

ただ、高山は現状に甘んじてはいけない。背後には危機が迫っている。1軍昇格をもぎ取り、優勝争いの中でアピールしなければならない環境が迫っているのだ。それが1日に再開された日本プロ野球選手会と日本野球機構(NPB)の現役ドラフト導入への事務折衝だ。

現役ドラフトはプロ入り後、例えば5年以上が経過しているのに1軍での出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化させる制度。昨年の開幕前は同年夏からの導入で巨人を除く11球団が合意していた。巨人が反対したのは対象選手をリストアップする方法。1球団につき8選手を提出し、成績の下位球団から順番に他球団の選手を1人ずつ指名していくプランだったが、それでは各球団ともにオフの戦力外通告予定者を出してくる。「クビ予定の選手の交換にしかならない」という主張だった。

今回、選手会は事務折衝の中で「新たに1軍登録日数などの基準を設け、自動的に同制度の対象選手にする」プランを提出する考えを初めて明らかにした。これなら各球団の編成プランにかかわらず、基準内の選手は現役ドラフトの対象となる。

進捗(しんちょく)状況からすれば、現役ドラフトの導入は早くて来年の出場選手登録期限(来季は7月31日予定)明けだが、来季でプロ7年目を迎え、2軍生活が続いていれば、高山は「ブレークスルー」の基準に入る。しかも、明大時代の東京六大学で通算最多安打(131安打)のリーグ記録保持者であり、ドラフト1位入団で新人王も獲得したキャリアからすれば、現役ドラフトの「超目玉商品」になる。

阪神としても、ドラフト1位入団で新人王を獲得した選手をその後、うまく育てられず、現役ドラフトで他球団にさらわれるのは悪夢だ。何としても高山を現状から脱出させ、1軍の戦力にしなければならないだろう。首脳陣は高山のサビついたバットをよみがえらせなければならない。

高山が1軍戦力に復活し、巨人やヤクルトを打ち砕けば、阪神は16年ぶりの頂点が見えてくる。逆に元新人王を復活させられなければ、ファンから失望と失笑を買う日がやってくる。

(特別記者)