アフガンで負傷の元軍人、パラ大会にかける思いは - 産経ニュース

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アフガンで負傷の元軍人、パラ大会にかける思いは

【東京パラリンピック2020】<カヌー男子スプリント予選>予選を1位で通過し笑顔を見せるオーストラリアのカーティス・マグラス(中央)=2日、海の森水上競技場(鳥越瑞絵撮影)
【東京パラリンピック2020】<カヌー男子スプリント予選>予選を1位で通過し笑顔を見せるオーストラリアのカーティス・マグラス(中央)=2日、海の森水上競技場(鳥越瑞絵撮影)

そこに私が足を失うほどの価値はあったのか-。熱戦が続く東京パラリンピックには、かつてアフガニスタンに派遣された元軍人も参加している。イスラム原理主義勢力タリバンが仕掛けた爆弾で身体の一部を失うなどした選手たちだ。

2日、カヌー男子予選2種目に出場したオーストラリアのカーティス・マグラス(33)もその一人。持ち前の迫力あるパドルさばきを見せ、バーシングル200メートル(運動機能障害VL3)では自己ベストを更新。決勝に向け、好発進した。

豪陸軍の工兵としてアフガンに派遣された2012年8月、任務中に地雷を踏み、両足をひざ下から失った。「この国を平和に」との思いで臨んだ任務。障害に悩み苦しんだが、徐々に民主化が進むアフガンの状況に自らをある程度、納得させることもできた。

だが、大会直前にタリバンが実権を掌握。支援してきた平和は遠のいた。「両足を失うだけの価値はあったのか」との豪メディアの質問に、「(タリバンの実権掌握)前までは『イエス』だったが…」と答えていた。現地のことを思うと、眠れない日が続いたという。

この日、競技を終えた後は「アフガンにいる全ての人に心を向けたい」とコメント。ただ、アフガンで目指してきた平和を「維持できなかった」とも述べ、自分たちが払った代償の意味を考える必要があると苦しい胸の内を明かした。

8月28日のトライアスロン男子個人(視覚障害)で金メダルに輝いた米国のブラッド・スナイダー(37)も、アフガン駐留部隊の一員だった。

爆発物処理を担当していた11年9月、爆弾の爆発で両目の視力を失った。

アフガンの民主的政権が崩壊した後、米軍の対テロ戦争が犠牲に見合うものだったのかについては「確信できない」などと語っていた。

タリバンが実権を掌握し先行きが不透明になったアフガン情勢。元負傷兵のパラリンピアンたちは複雑な思いを抱えながら大会に挑んでいる。(桑村朋)

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