【我流~社会部発】自民・竹本氏 令和の世襲宣言にあ然 - 産経ニュース

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自民・竹本氏 令和の世襲宣言にあ然

次期衆院選への不出馬を表明した自民党の竹本直一衆院議員=8月27日、東京・永田町の自民党本部
次期衆院選への不出馬を表明した自民党の竹本直一衆院議員=8月27日、東京・永田町の自民党本部

自民党の竹本直一(なおかず)衆院議員(80)が8月27日、次期衆院選への不出馬を表明した。自民党本部で開いた記者会見では、娘婿で元国土交通省官僚の加納陽之助氏(41)を引き合いに「適切な方法で彼を選んでもらえるなら、引き継ぎたい」と明言した。令和の時代に世襲宣言とは、あきれるほかない。

会見によると、昨年末に新型コロナウイルスに感染した竹本氏は1カ月半入院し、今年2月に復帰。次期衆院選は「もちろん自分が出るつもりだった」と語ったが、地元の大阪15区(富田林市など)の認識とは必ずしも一致しない。

ある地方議員は今春に竹本氏のポスターを貼り替えていた際、複数の有権者から「まだ出るつもりか」との声を聞いたという。

令和元年9月から1年、閣僚を経験し、傘寿(さんじゅ)の高齢でもある。ここが引き際とみていた有権者は少なくないのだろう。竹本氏が平成29年の前回衆院選後、挨拶回りに加納氏を連れていたことも「竹本氏不出馬」の空気を醸成した。

それでも活動を続ける竹本氏に業を煮やしたのが、地元の自民支部だ。今年7月に大阪15区の8地域支部のうち、6地域支部が〝引退勧告〟を決議した。拘束力はないが、重みはある。同月下旬には加納氏が出馬表明会見を開こうとし、竹本氏の介入で延期された。

徐々に外堀を埋められた竹本氏は8月に入り、所属する岸田派の幹部に「自分が出馬できなかったときは義理の息子を頼む」と伝えるようになった。

その後も決断しないまま、後継を決める公募について、党関係者に「公募期間はできるだけ短くしてほしい」と求めたという。これでは世襲への根回しと取られても仕方あるまい。

念頭に、竹本氏引退を前提に立候補の意向を表明した西野修平大阪府議(48)の存在があることは想像に難くない。府連幹部は「候補を一本化しなければ勝てないが、党への逆風の中で世襲させようなどと画策すれば、晩節を汚すことになる」と冷ややかだ。

世襲議員の能力を否定するつもりはない。しかし、すでに公募手続きに入った府連の選考次第では、大阪15区の党員投票が行われる可能性がある。これに先立って身内を後継指名することは、党員をないがしろにする行為だ。

くしくも竹本氏の会見前日の26日、派閥領袖(りょうしゅう)の岸田文雄前政調会長(64)は総裁選の出馬会見で何と語ったか。

「国民政党だったはずの自民党に声が届いていないと国民が感じている。民主主義が危機にひんしている。自民党が国民の声を聴き、幅広い選択肢を示せる政党であることを示す」

竹本氏の言動は領袖の決意に反してはいないか。時代錯誤の世襲画策に走っているとすれば、衆院選の勝敗以前に「国民政党」の看板が泣く。(社会部 清宮真一)