新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛やテレワークの浸透が献血事業を直撃している。団体献血の実施を見送る企業や学校が増え、各地の献血ルームを訪れる人も減っているという。日本赤十字社は、献血に出向くことは「不要不急」には当たらないとして積極的な協力を呼び掛けている。
日本赤十字社関東甲信越ブロック血液センターによると、管内1都9県の7月12日~8月8日の400ミリリットル献血者は8万2871人で、必要人数の8万9162人に比べ6291人少なかった。1週間当たりの不足人数は7月12~18日が1367人、19~25日が997人、26日~8月1日が1620人、2~8日が2307人だった。
日赤の埼玉県赤十字血液センター(さいたま市見沼区)の担当者は、献血者減少の要因として、企業や学校などでの団体献血が相次いで中止に追い込まれていることを挙げる。リモートワークやオンライン授業の導入が進み、献血をする人が集まらないためだ。
加えて、外出を自粛する風潮の広がりを背景に、献血ルームを訪れる人も減っているという。
献血事業の啓発のための講座も感染拡大の影響で開催できず、担当者は「献血をする機会も、知ってもらう機会も減っている」と嘆く。
血液は長期間の保存ができないため、途切れることなく確保し続ける必要がある。政府の新型コロナウイルス対策の基本的対処方針では、献血は緊急事態宣言時にも継続が求められる事業と位置づけられている。
同センターによると、献血の会場では、換気や消毒、職員や献血者のマスク着用などが徹底されている。担当者は「感染防止対策を徹底しているので協力してほしい」と話した。(中村智隆)