主張

防災週間 コロナとの複合に備えよ

1日の「防災の日」を含む7日間(8月30日~9月5日)は防災週間である。

デルタ株の猛威が全国に波及し、コロナ禍の先行きは見通せない。21都道府県に緊急事態宣言、12県に蔓延(まんえん)防止等重点措置が発令中で、医療現場は「もはや災害時」の状況にある。

地域や学校、職場で行われる防災行事や避難訓練が中止、縮小になったところが多いだろうが、自然災害はコロナ禍が収束するのを待ってはくれない。こんなときだからこそ、地震や豪雨、台風による災害への備えを徹底することがとても大事だ。

感染症のリスク、医療逼迫(ひっぱく)の現状を踏まえて、災害による被害を最小限にとどめ、命を守り抜かなければならない。そのために今何をすべきか、何ができるかを、一人一人が考え、家族で話し合って実行に移す。防災週間を、その契機としたい。

コロナ禍における防災は、「複合災害」への備えに通じる。

98年前(大正12年)の関東大震災は、マグニチュード(M)7・9の大地震と台風による強風が重なった複合災害だった。

現在の日本列島は、南海トラフ地震や首都直下地震の切迫度が高まり、阪神大震災や熊本地震のようなM7級直下型地震はいつ、どこで起きてもおかしくない。一方、地球温暖化の影響で「数十年に一度」「過去に経験がないほど」の気象災害の発生頻度が高まっている。

複数の災害が同時、あるいは立て続けに発生して被害が拡大する複合災害のリスクが極めて高いことを認識しなければならない。

たとえば、このコロナ禍に首都直下地震が起きたら、どうすればいいのか。移動と接触を避けては命は守れない。コロナを念頭に、災害時の行動の優先順位をあらかじめ決めておく必要がある。

避難施設では、可能な限りの感染症対策をしながら、多くの避難者を受け入れられる態勢を築かなければならない。一般家庭では、コロナと地震などの「複合」を想定して食料や日用品の備蓄を見直すことも大事だ。

あらゆる複合災害に完全に備えるのは不可能だが、「コロナと地震」「コロナと水害」を想定し備えを徹底、強化することは、複合災害から命と暮らしを守る力の基礎になる。

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