【千夜一夜】見つからないカブールの友へ - 産経ニュース

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千夜一夜

見つからないカブールの友へ

8月21日、アフガニスタン・カブールの国防省前を警備するイスラム主義組織タリバンの戦闘員(共同)
8月21日、アフガニスタン・カブールの国防省前を警備するイスラム主義組織タリバンの戦闘員(共同)

「うちで夕食をごちそうするよ」。アフガニスタンの首都カブールで取材に飛び回っていた2001年11月、通訳兼運転手だったアミーンさんに誘われ、自宅にお邪魔した。

岩肌がむき出しの山々に夕日が沈むころ、奥さんの手料理の数々が目の前に並んだ。ギョーザのような皮で肉を包んだ「オシャク」など盛りだくさんで、脂っこい食堂の料理とは比較にならないおいしさだった。

食卓を囲んだ4~10歳の子供たちが興味深そうにこちらをじっと見つめているのに気づいたとき、「アフガンにようやく平和が訪れた」という思いが込み上げてきたことを覚えている。

イスラム原理主義勢力タリバンが米軍の空爆を受けて敗走するまで、筆者は近郊の町ジャバルサラジで約1カ月、カブールの解放を待った。アミーンさんと知り合ったのはそのときで、一緒にタリバンの圧政の実態を聞いて回った。取材が空振りに終わったりして口論になったこともあった。4つほど年上の彼には悪いことをしたと思う。

タリバンが再びカブールに迫った今年7月からネットで一家を捜そうとしてきたが、見つけることができずにいる。4歳だった一番下の女の子も今は年ごろのレディーになったはずだ。せめてみんなが元気で過ごしていることを祈っている。(佐藤貴生)