アフガン邦人退避 今後はタリバンとの交渉焦点

27日、パキスタン・イスラマバードの空港に到着した航空自衛隊の輸送機(共同)
27日、パキスタン・イスラマバードの空港に到着した航空自衛隊の輸送機(共同)

政府は、アフガニスタンから退避できなかった日本大使館や国際協力機構(JICA)の現地職員らについて、安全の確保と出国に向けた支援を継続する。駐留米軍の撤収を受け、実権を掌握したイスラム原理主義勢力タリバン側とも交渉を進める考えだが、退避の見通しは立っていない。

菅義偉(すが・よしひで)首相は1日、官邸で記者団に対し、邦人1人を移送した自衛隊機派遣について、「最大の目標は邦人保護だ。そういう意味ではよかった」と語った。退避できなかったアフガン人職員らに関しては、「米国をはじめとする関係国と一緒に、安全確保や必要な出国に対応したい」と強調した。

現地に残るアフガン人職員や家族らは約500人で、タリバンによる迫害が懸念される。欧米各国もいまだに多くの自国民やアフガン人協力者を現地に残しており、日本も連携して、タリバン側が約束した「安全な退避」の履行を働きかける構えだ。

政府は自衛隊機を使った退避を行う際、現地職員らのリストを米軍経由でタリバン側に示し、首都カブールの国際空港までの検問を通過させようとしていた。外務省幹部は「日本もタリバン幹部とのパイプを持っている」と話す。

外務省は1日、トルコに置いていた在アフガン大使館の臨時事務所をカタールのドーハに移転した。ドーハはタリバンが事務所を置き、幹部もいるため、「いろいろなコミュニケーションが行われることになる」(茂木敏充外相)という。

米軍の撤収で、国外退避の拠点だったカブールの国際空港の管理はタリバン側に移った。タリバンは空港運営でトルコなどに支援を求める考えを示すが、空港の正常化は見通せない。タリバンが今後、自国民の出国を拒否するなど締め付けを強化したり、治安が悪化したりする恐れもくすぶっている。(田村龍彦)