【勇者の物語~「虎番疾風録」番外編~田所龍一(301)】西武V2 選手を納得させて動かす「広岡野球」 - 産経ニュース

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勇者の物語~「虎番疾風録」番外編~田所龍一(301)

西武V2 選手を納得させて動かす「広岡野球」

2年連続のリーグ優勝を果たし、胴上げされる西武・広岡監督
2年連続のリーグ優勝を果たし、胴上げされる西武・広岡監督

後半戦に入っても西武の勢いは止まらなかった。優勝マジックを「2」としていた西武は10月10日、2位阪急とのダブルヘッダーの第1試合を5-4で勝利。2年連続のリーグ優勝を果たした。

◇10月10日 西武球場

阪急 000 100 210=4

西武 104 000 00×=5

(勝)高橋13勝2敗 〔敗〕山沖14勝8敗1S

(S)森繁4勝5敗28S

(本)テリー(37)(山沖)ブーマー⑰(高橋)

試合は西武が一回、1死一、三塁からスティーブの右前タイムリーで先制。三回には1死満塁でテリーが右翼へ37号ホームラン。序盤で5点のリードを奪った。阪急も終盤に1点差まで追い上げたが、反撃もそこまで。

「西武は走者をためてガツン。ウチは決める技が決められない。きょうの試合は今シーズンのウチ対西武の縮図や」

上田監督は吐き捨てるようにつぶやいた。

2位とはいえ西武とのゲーム差は「17」。対戦成績は10勝16敗。大独走を許した原因はそれだけではないだろう。阪急と西武は何が違ったのか。評論家・野村克也はこう分析した。

「野球が〝力〟ではなく〝頭〟でやる時代になったということや。これまでみたいに、いけぇ! なんとかせぇ! ではもう選手を動かせない」

ノムさんは「納得-行動-納得」の図式という。明確な方針と信念に基づく徹底した練習。選手を納得させて動かす。動いて結果が出ると選手は「やっぱり本当だった」と改めて納得する。

「誰でもできることをどう徹底するか。首脳陣は選手がやりやすいように仕向けていく。コツコツと石を積みあげるように」

広岡監督は野手全員に緩い打球を素手でとらせるところから始めた。30歳となった松沼兄には一からフォームを作り直させ、32歳の大田には年に1度あるかないかのバントの練習をやらせた。

「与えられた戦力を生かすだけの時代は終わったのかもしれん」とノムさんは締めくくった。

与えられた戦力をさらに作り上げて動かす-それが広岡野球だった。(敬称略)