省庁間の縦割りの打破が課題 デジタル庁発足

デジタル庁の発足式で記念撮影に臨む菅義偉首相。左モニターは平井卓也デジタル相=1日午後、首相官邸(春名中撮影)
デジタル庁の発足式で記念撮影に臨む菅義偉首相。左モニターは平井卓也デジタル相=1日午後、首相官邸(春名中撮影)

国全体のデジタル化を主導するデジタル庁が1日、業務を開始した。業務の大きな柱は新型コロナウイルス禍で露呈した行政のデジタル化の遅れをどう挽回するかだ。平成の約30年間、日本は電子立国を掲げながら電子政府の取り組みは遅々として進まなかった。省庁間の縦割りと地方自治体の格差という行政の効率化を阻む壁を、デジタル化によってどう乗り越えるか、新組織の実力が試される。

「デジタルはいろいろな境界を超えることが一番大きなポイント」

他省庁の次官級にあたるデジタル監に就いた石倉洋子氏は1日、記者団に対してこう強調した。

デジタル庁が目指す社会では、役所に行かなくてもスマートフォンひとつで、全ての行政サービスを受けられるようになる。行政システムは標準化され、自治体は規模の大小を問わず、全国で均一なサービスを提供できるようになる。

ただ、国連の2020年の電子政府ランキングでは日本は14位で、前回18年の10位から後退。国連は日本までを上位グループと位置付けてはいるが、日本より他国のスピード感が圧倒的に勝っているのが実情だ。

デジタル化の遅れはコロナ対応にも影響した。感染者との接触確認アプリは4カ月以上不具合が放置され、ほとんど機能せず、10万円の定額給付金の支給も全国でばらついた。ITを所管する経済産業省、総務省と、コロナ対策にあたる厚生労働省の縦割り行政が一因だった。

また地方自治体では、人口4百万人近い横浜市と500人程度の村が制度上は同列に扱われ、人材やシステムの予算規模が施策の差につながっている。こうした格差を乗り越えるためにもデジタル化による業務効率化は不可欠だ。

行政のデジタル化にいち早く成功した韓国は2004年に住民票のオンライン交付を開始。官民挙げてスマホの普及に取り組んだ結果、電子政府ランキングも上位を維持している。日本の電子行政はようやくスタートラインに立ったばかりだ。(高木克聡)