バイデン氏「成功」に米国民冷淡 アフガン混乱で - 産経ニュース

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バイデン氏「成功」に米国民冷淡 アフガン混乱で

アフガニスタン駐留米軍の撤退完了に関する演説を終えたバイデン大統領=8月31日、米ホワイトハウス(AP)
アフガニスタン駐留米軍の撤退完了に関する演説を終えたバイデン大統領=8月31日、米ホワイトハウス(AP)

アフガニスタンからの米軍撤収をめぐり、バイデン米大統領は8月31日の国民向け演説で退避作戦の成功を強調したが、作戦中の自爆テロで米兵13人が犠牲になったこともあり、米国民にバイデン氏の発言を手放しで受け入れる気配はない。2001年9月11日の米中枢同時テロ後、約20年に及んだ「米国史上最長の戦争」の終結にもかかわらずバイデン政権への世論の評価は冷たい。

米軍のアフガン進攻の契機となった米中枢同時テロ現場の一つ、東部ニューヨーク市の世界貿易センタービル跡地では8月31日、バイデン氏の演説を疑問視する人が目立った。

バス運転手の男性(52)は「自爆テロで死亡した米兵13人の遺族の気持ちを考えると、成功だったとはとても口にできない。より良い方法があったはずだ」と批判した。アフガンに取り残された米国人が100~200人いて退避を支援する活動が続くことや、テロの脅威が去っていないことから「戦争が終わったと言っていいのか」と話す50代の女性もいた。

ただ、撤収の判断そのもに関しては、「20年は長すぎる。引き揚げるときだ」(40代男性)と支持する人が多かった。

撤収に伴う混乱は、バイデン政権の支持率に影響している。米統計分析サイト「ファイブサーティエイト(538)」による各種世論調査の集計によると、1月の発足以降、50%超を維持してきた政権支持率は、アフガンの首都カブールをイスラム原理主義勢力タリバンが制圧した8月中旬に初めて50%を下回った。8月末時点で支持が47・6%、不支持が47・2%と拮抗している。

ロイター通信と調査会社イプソスが27~30日に実施した世論調査では、アフガンからの退避を希望する在留米国人や現地協力者らが多数取り残されていることで、全体の約半数が「退避が完了するまで米軍はとどまるべき」だったと回答。拙速だったとの意見が多数で、完全撤収を支持したのは13%にとどまった。

バイデン氏が撤収方針を表明した4月時点では、米議会専門紙ヒルなどの調査で米国人の7割超が撤収を支持すると回答するなど、バイデン氏の決断を称賛する世論が支配的だった。

しかし、バイデン政権が8月末の撤収期限に固執する中、米国が支援するアフガン政府がタリバンの攻勢を受けてあっさりと瓦解(がかい)したことで評価は急落。8月26日にカブール国際空港周辺で起きたイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)傘下の「ホラサン州」(IS―K)の自爆テロで米兵や退避希望者らに多くの犠牲が出たことが追い打ちをかけた。

バイデン氏は29日、東部デラウェア州で、自爆テロにより死亡した米兵らの遺体を出迎える式典に出席し、遺族らと面談して弔意を伝えた。だが、このときの同氏の様子について、遺族側が「時計をしきりに気にしていた」「台本を読み上げているようでまったく敬意がなかった」と不満を述べていると米メディアで報じられた。バイデン氏はイメージ悪化の悪循環から抜け出せずにいる。(ニューヨーク 平田雄介、ワシントン 大内清)