北が核施設再稼働の動き、バイデン政権に「核カード」誇示

北朝鮮・寧辺の核施設を撮影した衛星写真=7月27日(AP)
北朝鮮・寧辺の核施設を撮影した衛星写真=7月27日(AP)

【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮が、北西部、寧辺(ニョンビョン)の核施設で原子炉や再処理施設を再稼働させたとみられることが国際原子力機関(IAEA)の報告書で明らかになった。核兵器原料のプルトニウムを抽出した可能性がある。核開発の進展を誇示し、バイデン米政権との今後の交渉を優位に進める狙いもうかがえる。

IAEAは8月27日付の報告書で、寧辺の中心施設である5000キロワットの原子炉で7月初旬から冷却水の排出など稼働を示す兆候が確認されたと明らかにした。原子炉は2018年12月以降、活動が見られなかった。

使用済み核燃料棒の再処理施設でも7月初旬まで約5カ月間、蒸気プラントが稼働した。過去に原子炉から出た使用済み燃料の再処理に要した期間と一致するという。IAEAは、国連安全保障理事会決議に明白に違反するとして、深い遺憾の意を表明した。

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記は19年2月のトランプ前米大統領とのベトナム・ハノイでの首脳会談で、寧辺の核施設を廃棄する見返りに、主な経済制裁の解除を求めた経緯がある。トランプ氏は他の核施設の廃棄も迫り、会談は物別れに終わった。米韓の専門家の間では、北朝鮮が寧辺の核施設が〝現役〟であることを見せつけ、米国との交渉カードにする思惑があるとの分析も出ている。

北朝鮮外務省は8月28日にホームページで、米国に対抗し「最強の戦争抑止力を不断に蓄えていく」と主張した。