【となりのSDGs】フードバンク 急増する支援を求める声 - 産経ニュース

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フードバンク 急増する支援を求める声

フードバンク関西が支援として送る食品のセット
フードバンク関西が支援として送る食品のセット

まだ食べられるのに廃棄されそうな食品を、必要としている人に届けるフードバンクの取り組みが、新型コロナウイルス感染拡大で重要な役割を担っている。この夏も急な収入減で困窮する家庭や、夏休みに入って給食が食べられなくなる子供たちを支えようと、関西各地で余った食品を集めたり、食品を配ったりする動きが広がった。

支援求める声13・5倍に

フードバンクとは、直訳すると食料の銀行という意味で、余っている食品を預かって、足りないところに分配する社会福祉活動のことを指す。平成15年から神戸市を拠点に活動を続けるNPO法人「フードバンク関西」ではこれまで、企業や個人から寄贈された食品を、行政や福祉施設、支援団体などを通じて食べ物に困っている人たちに配ってきた。昨年度は約180社から約251トンの食品の寄贈を受けたという。

自治体などから要請を受け、突然仕事がなくなったりして一時的な困窮に陥った世帯に約1週間分の食料を提供する食のセーフティーネット事業の昨年度の支援件数は876件で、24年に始めてから最も多くなった。さらに昨年度は支援を求める個人からの問い合わせが急増。メールは前年度比の13・5倍に上ったという。

「収入が下がったので自分の食事を制限して子供に食べさせています」「1日2食に抑えています」

切実な訴えも多く、数日分の食料を詰めたパックを宅配で送る緊急食料支援を3回行い、延べ1991世帯、約21トンを配布。今夏も兵庫県内の小学生から高校生のいる住民税非課税世帯などにコメやレトルト食品を宅配便で送った。

フードバンク関西理事長の中島真紀さんは「本当に困っていても、行政とつながれていなかったり、相談先がわからなかったり、声を上げられない人も多い。こういった支援の輪があることを知ってもらい、孤立した人を少しでも減らすきっかけになれば」と訴える。

つながり方を模索

今年7月下旬、奈良市役所で、経済的に困っている子育て世代にコメ2キロやジャガイモ、タオルなどの日用品がパックされた袋が配られた。スタッフは訪れた母子らに声をかけながら手渡していく。

「暑いから気をつけてね」「重くない? 持てるかな」

同市は昨年度、NPO法人「フードバンク奈良」(奈良県斑鳩町)と連携し、行政主導のフードバンク事業を始めた。就学援助や児童扶養手当などを受給している世帯に、市が取り組みを知らせ、フードバンク奈良が市内の数カ所で食品の受け渡しをする。

奈良市のフードバンク事業でも、夏休みの緊急支援事業を実施した
奈良市のフードバンク事業でも、夏休みの緊急支援事業を実施した

フードバンク奈良の代表理事、平川理恵さんも「コロナ禍で困窮する世帯が増えている」と心配する。食品受け取りの申し込みはスマートフォンの無料通信アプリ「LINE(ライン)」を通じて行うのに対して、「来月はスマホも解約されるかも」と悩みを打ち明ける人もいる。「バス代がない」と炎天下、歩いて1時間かけて食品を取りに来た母子もいた。

「ほかにも手当の受給のない世帯で、困っている家族もあるかもしれない。そういった人とどうやってつながっていくか。個人情報の問題もあり、これからの課題です」。平川さんはこう指摘した。

集えない代わりに弁当で

新型コロナウイルスの影響で、人が集うことが制限され、各地のこども食堂の活動も縮小を余儀なくされている。それでも、お弁当作りを通じて子供たちにバランスの良い食事、そして食の楽しみを伝えたいと取り組む団体がある。

奈良市の奈良公園に近い飛鳥地区の公民館でこども食堂を開いている「ルフフ子ども食堂」は8月、夏休みに入った子供たちのために毎週木曜日の昼時にお弁当を配布した。国産鶏手羽元のトマト煮とトウモロコシと玉ネギのオムレツ、チーズのペンネ…。木曜日の午前には、野菜たっぷりの洋風弁当が公民館の台所にずらりと並んだ。

市内で飲食店を営む有馬稔さんと佳子さん夫婦が地元の民生委員らとともに化学調味料無添加にこだわって作った。子供の弁当代は無料。正午になると弁当を受け取りに来る子供の弾む声が公民館に響いた。

もともと「食の楽しみを知ってほしい」と、食育を目的にこども食堂を開いてきた。佳子さんは「コロナ禍でなかなか思うように集えなくなりましたが、私たちにできることでつながっていたい」と話している。