東京五輪・パラリンピック組織委員会とトヨタ自動車は31日、パラリンピック選手村で視覚障害の柔道選手と接触事故を起こし停止していた自動運転バス「e―Palette(イーパレット)」の運行を再開した。詳細な事故原因は警視庁などが調べているが、選手の中には移動手段の確保を求める声も多く、安全対策を強化した上で再開させた。
組織委などによると、事故は8月26日午後2時ごろ、選手村の信号機のないT字路をバスが右折中に発生した。バスには乗員2人が乗っており、自動ブレーキが作動したほか、乗員も緊急ブレーキをかけたが停止前に選手と接触した。
事故当時、T字路には2人の誘導員がいたが、歩行者とバスの両方の動きを十分に確認できていなかったといい、再開に当たっては、交差点に立つ誘導員の総数を6人から20人以上に増加。バスの運転も加減速や停止については人が操作するマニュアル運転に切り替えるほか、バスには新たに運行の安全性を確認する「安全監視員」を乗せる。
事故に遭ったのは柔道男子81キロ級代表の北薗新光(あらみつ)選手で、頭部打撲など2週間のけがを負い、28日の試合を欠場した。