衆院選、10月17日投開票が軸 任期満了選挙が現実味

会見する菅義偉首相=25日午後、首相官邸(萩原悠久人撮影)
会見する菅義偉首相=25日午後、首相官邸(萩原悠久人撮影)

次期衆院選について、菅義偉首相が衆院を解散せず、45年ぶりとなる衆院議員任期満了(10月21日)に伴う閣議決定による衆院選が現実味を帯びている。この場合の投開票日は10月17日。憲法が4年と定める議員任期内に新たな議員を選ぶのが「憲政の常道」だとの意見が首相周辺で強まっている。これまで新型コロナウイルス対策を優先させて解散しなかったことに加え、自民党総裁選(9月17日告示、29日投開票)の日程なども影響している。

衆院解散のない任期満了選挙となれば、昭和51年の三木武夫内閣以来、戦後2例目となる。首相が事前に記者会見などで表明した上で、任期満了日の30日前となる9月21日に閣議決定する案などが浮上している。

公職選挙法は任期満了日前の30日以内に投開票を行うと規定しており、今回は9月21日~10月20日が該当する。総裁選の日程が正式に決まり、岸田文雄前政調会長の出馬表明を受け無投票にならない見通しとなったため、衆院選の選択肢は総裁選後の「10月5日公示-17日投開票」にほぼ限られる。

現行憲法下で行われた衆院選25回のうち、衆院解散に伴うものが24回を占める。解散を伴うケースでは、投開票まで準備や選挙運動期間で1カ月弱を要する。今回、議員任期内の投開票を前提に日程を逆算すると、衆院解散の時期が総裁選の直前か期間中になる。総裁選を戦いの最中に中止させることは、党総裁で再選を目指す首相の「個利個略」とみられる可能性が高い。

任期内にこだわらず、総裁選後に衆院を解散して投開票を10月末や11月に先延ばしすることも、公選法上、例外的にはできる。ただし現行憲法下でこうした前例はなく、「自民の党利党略」との批判は避けられない。自民からは「憲政の常道を外れるべきではない」(派閥領袖級)、「常識的な判断になるだろう」(幹部)として「任期満了選挙」論が複数出ている。

立憲民主党幹部も「首相は慎重で変化球を投げない」と読む。実際、首相は優勢が見込まれた昨年秋の衆院解散論も「コロナ対策が最優先」と封じた。

とはいえ、任期満了選挙も問題がある。総裁選で岸田氏ら首相以外が勝利した場合だ。

新総裁は臨時国会で首相に指名され、組閣して新内閣を立ち上げる。だが、臨時国会召集までに「少なくても平日3日」(衆院幹部)が必要で、10月5日の公示までに新内閣を発足させるのは不可能に近い。

そこで与野党でささやかれるのが、新首相(総理大臣)を指名せずに菅内閣を継続したまま、自民党は新総裁のもとで衆院選に臨む「総総分離」論だ。

これも極めて異例の対応となる。衆院選は現政権に審判を下す機会でもあるため、党内外から「理にかなわない」(立民幹部)との批判は免れない。こうした難題を避けるため、首相が任期超えの解散・総選挙を決断する可能性もある。(田中一世)