長距離伴走、特有の器具……パラ流感染対策、細やかに

【東京パラリンピック2020】お台場の海上に設置されたパラリンピックのシンボルマーク「スリーアギトス」=23日午後、東京・台場(鳥越瑞絵撮影)
【東京パラリンピック2020】お台場の海上に設置されたパラリンピックのシンボルマーク「スリーアギトス」=23日午後、東京・台場(鳥越瑞絵撮影)

東京都など競技会場がある全4自治体に緊急事態宣言が発令される中での開催となった東京パラリンピックだが、大会組織委員会は、選手・関係者らの新型コロナウイルスの感染はおおむね抑えられているとみている。介助者らの支援が必要な競技が多く、消毒対象はパラ特有の器具を含め多岐にわたるが、現場での注意深い対策が功を奏しているようだ。

「今のところ大会運営に大きな影響を与える問題はない。順調に対応してきた」。組織委の武藤敏郎事務総長は30日のパラリンピックの中間総括記者会見で、現状の新型コロナ対応をそう評価した。

組織委によると、12日からの発表以降、30日までのパラ関係の陽性者は累計241人で、うち選手は13人。今大会では選手と競技役員の88%がワクチンの接種を終えており、これまでに重症者は出ていない。

現場で徹底されているのは消毒などの基本対策だ。

30日、夢の島公園アーチェリー場(東京都江東区)。頸椎(けいつい)損傷により首から下の筋肉が自由に動かない大山晃司(こうじ)(29)は歯で弦を引いてしならせる。このため、弓などの道具の消毒が丁寧に行われていた。

幕張メッセ(千葉市)であった車いすフェンシングでは、「ピスト」と呼ばれる固定台をスタッフが入念に除菌シートで拭いていた。試合ではピストの上に車輪が接地するからだ。

組織委の担当者は「人が触れるもの全てを除菌するのは五輪も同じだが、パラは対象が多い」と話す。

競技の特性から、身体的な接触が増えたり、ソーシャルディスタンスが取りづらいケースも。競泳では、上肢に欠損がある選手はスタッフが身体を抱えるようにして入水させ、陸上競技では、視覚障害クラスのトラック種目などでガイドランナーと呼ばれる伴走者が選手の横に付き添って走る。接触が増えれば感染リスクはどうしても高まる。

組織委は、選手に加え、選手に密接に接触する関係者への検査を毎日行っているほか、当初は「4日に1回」としていた選手村での業務従事者も、大会前に毎日実施することに変更。選手に接触せず「7日に1回」としていた人も「4日に1回」となった。

「パラリンピアンの多くは感染すると健常者よりも不利で重症化リスクもある」と話すのは、車いすテニスの会場の「有明テニスの森公園」(江東区)で、選手用医療統括者を務める別府諸兄(もろえ)医師。接触機会を減らす対策を徹底しており、これまでに濃厚接触者かどうか判断が下されていない「未確定者」扱いのPCR陰性の海外選手が練習のため会場を来訪した際は、終了後のマッサージ室などの利用を許可せず、選手村に直帰させたという。

大会は折り返しを迎えたが、別府医師は「今後もできる限り、注意深く対応していく」としている。