前回最下位の屈辱を原動力に 6位入賞のトライアスロン木村

トライアスロン男子で6位に入賞した木村潤平=29日、お台場海浜公園(佐藤徳昭撮影)
トライアスロン男子で6位に入賞した木村潤平=29日、お台場海浜公園(佐藤徳昭撮影)

最下位に終わった前回リオデジャネイロ大会から5年。メダル争いには食い込めなかったが、成長の跡をしっかりと示した。29日に行われた東京パラリンピックのトライアスロン男子(車いす)で、木村潤平(36)が6位に入賞。「納得いく結果ではないが、最後まで気持ちを込めて走ることができた。やれることは全部やった」とすがすがしい表情で語った。

得意とするスイムで3位と好スタート。だが、バイクで5位に後退し、ランでさらに順位を下げた。それでも、ゴール前でオーストラリア選手との激しいつばぜり合いに競り勝つと、ガッツポーズでフィニッシュした。

兵庫県西宮市出身。先天性の下肢不全で、5歳のときから松葉づえを使う。小学1年で競泳を始め、「足が不自由でも、水の中だったら健常者と変わらず勝負できる」とのめり込んだ。

中高でも健常者と同じ舞台で戦うことにこだわったが、高校時代、水泳部顧問からもらった一言が転機となった。「障害者の大会で頑張れば、日本一になれるんじゃないか」

ジャパンパラ大会の50メートル自由形に出場すると、見事に優勝。だが、高校3年のときに初めて出場した世界選手権で、世界の壁を痛感した。「レベルが低いって思い込んでいた」というパラアスリートは、高校の健常選手をもしのぐタイムで泳いだ。「パラスポーツってすごいんだ」。考え方が180度変わった。

パラリンピックには2004年アテネ大会から競泳で3度出場。16年リオ大会ではトライアスロンに転身して挑んだが、最下位の10位に沈んだ。「こんな低い順位は初めてで情けなかった」。選手同士の接触も多く、海外選手のパワーに圧倒されたという。

自国開催の大舞台でリベンジしたい―。そんな思いを原動力に、東京大会までの5年間、海外レースに積極的に参戦。トップ選手とのパワーの差を埋めるべく、フィジカルトレーニングにも精を出した。

「自分が競技する姿を通じ、子供たちや多くの人々にいろんな可能性を感じてもらいたい」。強い思いを抱いて出場した今大会。メダルには届かなかったが、「(新型コロナウイルス禍の)難しい社会情勢の中で、こんな幸せな時間を過ごすことができて感謝しかない」と晴れやかな表情をみせた。(木下未希)

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