【シンガポール=森浩】アフガニスタンの実権を掌握したイスラム原理主義勢力タリバンのムジャヒド報道官は29日までに、新政権は31日の米軍撤収完了後、「数日以内」に発足するとの見方を示した。タリバンは「全アフガン人が参加する包括的政府」の発足を明言しているが、どこまで実現するかは不明。タリバンが主要閣僚を独占すれば国内外の反発が強まる可能性がある。
ロイター通信のインタビューに応じた。ムジャヒド氏によると、既に国内34州のほとんどで知事や警察幹部が任命されたという。女性が新政権でポストを得るかどうかは明言を避けた。
ムジャヒド氏は米軍撤収後、ただちに首都カブールの国際空港の管理を引き継ぐとの方針を強調した。タリバンはトルコやカタールから技術協力を得ながら空港を管理する見通し。
これまでにタリバンは当面の間の国防相代行として、初代最高指導者オマル師側近だったアブドル・カユム・ザキール氏を任命したもようだ。ザキール氏は2001年に米軍に拘束され、キューバのグアンタナモ米軍基地の収容施設に収監された経験がある。行政能力などは未知数だ。
国内では娯楽を禁じるタリバンが地元の音楽家を殺害したとの情報があり、恐怖支配への懸念が日増しに高まっている。タリバンはカブールなどの住民に対して、保有する武器や弾薬を1週間以内に引き渡すよう指示した。抵抗を封じる狙いがあるようだ。