下村氏、推薦人「確保」も派閥冷ややか 自民総裁選

自民党・下村博文政調会長(春名中撮影)
自民党・下村博文政調会長(春名中撮影)

9月の自民党総裁選に意欲を示す下村博文政調会長が、立候補に必要な党所属国会議員20人の推薦人を「確保した」と公言している。ただ、所属する最大派閥の細田派(清和政策研究会、96人)幹部や下村氏に近い安倍晋三前首相は菅義偉(すが・よしひで)首相の再選を支持する構えを崩していない。新型コロナウイルス対策に責任を負う党三役の下村氏の出馬には否定的な意見が根強く、先行きは見通せない。

「推薦人は既に20人以上の協力をもらえる予定だ。より多くの方の賛同を得て出馬したい」。下村氏は27日、東京都内で記者団にこう述べ、立候補に重ねて意欲を示した。26日には安倍氏の事務所を訪ね、改めて思いを伝達した。

街頭などでは「コロナ対策や少子高齢化対策、ウィズコロナの国家ビジョンなど、自由闊達(かったつ)に議論する必要がある」と述べ、首相の弱点ともいわれる「国家観」も含め論戦すべきだとの主張を展開している。

下村氏は着々と出馬への布石を打ってきた。党政務調査会で、総裁選公約の柱と見定めてきた、経済的豊かさにかわる「幸福度」や「充実度」に当たる指標「ウェルビーイング」の研究を推進。今年4月には生い立ちや主要政策を網羅した著書を出版した。

しかし、後押しを期待する派の反応は芳しくない。派閥会長の細田博之元幹事長は首相支持を明言。また、参院細田派(清風会)会長の世耕弘成参院幹事長は、下村氏が党の新型コロナ対策本部長であることから「政権与党でコロナ対応に責任を持っている方は出馬すべきではない」と言い切った。派を離れている安倍氏も同様の考えだ。

派内には下村氏が出馬を強行することで対応が割れることへの危機感も少なくない。野党時代の平成24年の総裁選に際し、当時の谷垣禎一総裁を支える党三役の石原伸晃幹事長が出馬を表明し、「平成の明智光秀」と批判されたことを引き合いに出す向きもある。

逆に出馬を期待する声は派外から漏れてくる。首相周辺は立候補を表明した岸田文雄前政調会長との一騎打ちを懸念し、「下村氏に出てもらい、党員・党友票を分散させるという考えはありうる」と語った。(沢田大典)

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