韓国、日本に先立ち390人のアフガン退避完了

26日、アフガニスタン人らを乗せて韓国・仁川国際空港に着陸した韓国軍輸送機(聯合=共同)
26日、アフガニスタン人らを乗せて韓国・仁川国際空港に着陸した韓国軍輸送機(聯合=共同)

【ソウル=時吉達也】アフガニスタンからの米軍の撤退期限が8月末に迫る中、邦人や大使館現地職員らの退避に向けた調整が難航する日本に先立ち、韓国政府は27日、現地職員と家族ら約390人の韓国移送を完了させた。米軍の協力を得て対象者を特定のバスで空港まで移動させることで、イスラム原理主義勢力タリバンによる検問を切り抜けた。

26、27日に計2便で韓国に移送されたのは、大使館スタッフや韓国のアフガン復興事業などに従事した職員とその家族ら。うち約100人は、5歳未満の乳幼児だった。

韓国外務省などによると、退避計画は8月上旬から進められてきたが、タリバンによる実権掌握が想定より早まったことを受け、民間航空機の利用を断念。軍用機による移送に切り替えて早期の作戦完了を図った。しかし、首都カブールの空港周辺ではタリバン戦闘員が検問で現地住民の移動を厳しく制限。予定通り23日に空港入りできたのは、26人にとどまった。

そこで、韓国側は米国との取引があり、米国とタリバン間の合意で空港への出入りが認められた会社のバス6台を確保。情勢悪化を受けカタールに避難していた大使館員4人がカブールに戻って直接交渉にあたり、各国との〝争奪戦〟を勝ち抜いたという。25日、米軍側が指定した空港外の複数の待ち合わせ場所に対象者を集合させ、バス移動で検問を通過した。

国際機関や外国関連の建物が爆破されるケースが相次いで職員らの安全確保が課題となる中、退避希望者が空港にたどり着けないケースが続出。韓国メディアは軍の救出作戦名「ミラクル」に合わせ、「カブールの奇跡だ」(ハンギョレ紙)などと移送完了を大きく報じている。

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