がん電話相談から

食道全摘後に残った治療法は?

Q 50代の食道がん患者の妻です。嗄声(させい、声がれ)で異常に気付き総合病院を受診したところステージⅢと診断され、リンパ節転移も分かりました。本人の希望で食道の全摘手術は見合わせ、放射線治療を33回、化学療法を3月まで実施してきましたが、がんが増大し食物のつかえ感が出たため7月に全摘手術を受けました。しかし原発のがんが残っている可能性が高く、今後は「オプジーボ(一般名・ニボルマブ)」を使用予定と説明されました。この治療法が最良でしょうか。

A 食道がんの手術で切除し切れずに、がんが残っている場合の2番目の薬物療法としてはオプジーボや「キイトルーダ(一般名・ペムブロリズマブ)」といった免疫チェックポイント阻害薬が最も推奨されます。放射線や抗がん剤でも終了後早期にがんの進行が見られる場合は、1番目に行った薬物療法を再開しても効果は得られないと考えられます。

Q 免疫チェックポイント阻害薬とは何ですか。

A もともと人間に備わっているがんに対する抵抗力の一つであるリンパ球の力を高め、リンパ球ががんを攻撃することで効果を発揮する薬剤です。ただ、手術でがんを取り切れている場合は、特に追加の治療はせず定期検査を行い、再発がなければ経過をみることになります。手術で取り切れた場合の再発予防としての免疫チェックポイント阻害薬の使用は現状、承認されていないためです。がんは取り切れているかを外科医に確認する必要があります。

Q 免疫チェックポイント阻害薬以外の治療法はどうですか。

A それ以外で食道がんに有効と考えられる薬剤には①タキサン系といわれる「パクリタキセル」や「ドセタキセル」②白金系の「シスプラチン」③「5―FU(一般名・フルオロウラシル)」―の3種類の抗がん剤があります。日本では5―FUと白金系の同時投与を1番目の薬物療法として行い、2番目は免疫チェックポイント阻害薬、3番目にタキサン系が用いられることが多くなっています。

臨床試験などを踏まえた5―FUの効果や副作用を考えると、今回はオプジーボを今後の治療として優先する方針でよいと思います。いずれの薬を使用するにせよ一般的に体調が悪いと効きは良くありませんし治療も長続きしません。現在は入院中とのことですが、日常生活を問題なく送れる程度に体調が整ってから治療を受けるべきです。

Q 温熱療法を併用するのは有効でしょうか。

A がん細胞を加温して死滅させようとする温熱療法は現状、食道がんでは一般的ではありません。通常、医師が患者に勧める治療は、過去の試験の結果で有効性が認められていることに加え、副作用が許容範囲であることが確かめられているものですが、温熱療法は食道がんなどに対し多くの患者さんを集めた試験に基づく客観性の高い結果が得られていないのです。

Q 漢方薬の併用はどうでしょうか。

A 温熱療法と同様で効果や安全面での評価は十分なされていません。漢方薬も薬には違いなく、肝障害などの副作用が増える可能性も否定できません。主治医に確認しながら慎重に判断すべきだと思います。根拠の乏しい安易な併用はすべきではありません。

回答は、がん研有明病院の外来化学療法部部長、陳勁松医師が担当しました。

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