音楽で老化予防 スタジオと楽器備えた介護施設 埼玉

「音楽介護予防施設KEION」のスタジオで演奏を楽しむ利用者たち=埼玉県川越市(深津響撮影)
「音楽介護予防施設KEION」のスタジオで演奏を楽しむ利用者たち=埼玉県川越市(深津響撮影)

スタジオや楽器を備えたユニークなデイサービス施設「音楽介護予防施設KEION(けいおん)」が埼玉県川越市にオープンした。音楽活動に取り組む場を施設利用者に提供することで、老化や認知機能低下の予防を図る。

施設は、川越市と同県川島町に住む要介護1~5の人と、川越市の要支援1、2の人が利用できる。

防音のスタジオとギター4台、ピアノとドラムセット各1台などがそろっており、利用者たちは楽器の演奏や歌唱、作曲など、思い思いの活動に取り組んでいる。歌や演奏はレコーディングした上でCDにして利用者に配布しているほか、動画投稿サイト「ユーチューブ」でも公開している。

利用者の大島弘道さん(81)は「歌が好きなので上手に歌えると楽しい」。渡辺鏡子さん(89)も「いきいきできる」。施設では、身体機能向上のための体操の際も職員の演奏に合わせ体を動かす方式を採用するなど、音楽を活動の軸に据えている。

施設の運営会社の社長、上野拓さん(58)は、埼玉県警で鑑識活動を担当してきた経歴を持つ。多くの孤独死の現場に立ち会った経験から、高齢者の幸せな暮らしをサポートしようとデイサービス施設の設立を計画した。

既存の施設のサービス内容を調べる中で「音楽を生かした施設があれば」と思い立ち、7月1日に開所にこぎつけた。

上野さん自身、中学時代にギターを始め、県警内に軽音楽サークルを作ったという音楽好きだ。「楽しむことが第一。熱中して音楽を楽しむことが老化の予防にもつながれば」と期待を込めた。(深津響)

会員限定記事会員サービス詳細