朝晴れエッセー

夏の涼味・8月23日

「ああおいしい」

口中に広がる清涼の気。舌から喉へ転がしていく。舌に残るほのかな甘み。甘露甘露。

近所のお茶屋さんで玉露の氷茶をひと口いただいた。あまりのおいしさに値段も見ずに2箱求めた。いつもなら煎茶にするのだが。

この時節来客などない。だから客用ではなく、自分用に毎日楽しんでいる。氷水にティーバッグを入れ冷蔵庫に常備しておく。

起きがけのひと口、口に含んだときの香味と冷たさがたまらない。

昼食後の一杯。主人は味が薄いと言う。確かに抽出時間は短かった。しかし薄味のほろ苦さも乙なものだ。ではもう一杯。

フィットネス用の水筒にも入れていく。汗で張り付く髪をかき上げながらゴクゴク飲む。誰もこの緑の液体が玉露だとは気づくまい。ぜいたくなことだ。

ところで今年はスイカも毎日のように食べている。水分補給と火照った体を冷やすためなどという理屈ではなく、おいしくてたまらないからだ。

これも自然の摂理か。やはり旬のものがいい。では玉露は旬か、と問われれば答えに窮するがこの氷茶は絶品だ。

最高気温36度。ニイニイゼミの大合唱に風鈴は休戦中だ。入道雲が覚悟はいいかと問う。

今日の暑さへの不安も玉露の氷茶とスイカで溶かしていけそうだ、と空を見上げる。


永濱美智子(60) 京都府宇治市