さまざまな障害のあるパラアスリートが最高のパフォーマンスを発揮するためには、彼らを支える存在が欠かせない。義肢装具や車いすを〝相棒〟とする選手がいる一方で、視覚障害のある選手には自身の「目」となる人たちが寄り添う。
【ここが知りたいパラリンピック】㊤パラ名称、64年東京大会から
水泳で視覚障害のある選手がターンやゴールする直前、飛び込み台付近から長い棒で選手の頭や体をたたく人がいる。健常者のレースではみられない光景だ。彼らは「タッパー」と呼ばれ、壁の接近を知らせる役割を担う。合図のタイミングがずれると、タイムロスや選手のけがにつながるため、両者は深い信頼関係を築き上げることが求められる。
タッパーが使う棒はタッピング棒と呼ばれ、日本パラ水泳連盟などによると、長さや形状に規定はない。釣りざおの先端にウレタン素材を付けたものが多いが、国内トップ選手の多くは軽くて弾力性に富むグラスファイバー製のタッピング棒を愛用しているという。
「ブラインドサッカー」とも呼ばれる5人制サッカーは、視覚障害のある4人のフィールドプレーヤー(FP)と、視覚障害のない晴眼か弱視の選手が務めるゴールキーパー(GK)がピッチに立つ。敵陣ゴール裏に陣取り、FPに情報を伝えるのが「ガイド(コーラー)」だ。
「45度、5メートル」などとシュートの角度やゴールまでの距離、相手の位置を的確に伝えるのが役目。アイマスクで視界を遮断されたFPは、ガイドの声を頼りに得点を狙う。
自転車競技で、視覚障害のある選手は2人乗りのタンデム自転車で競う。後部座席に選手、前方にはハンドル操作を担う「パイロット」と呼ばれる晴眼者が乗り込む。一緒に自転車をこぎ、勝敗に大きな影響を及ぼすパイロットは、五輪のメダリストが務めることもあるという。
パラリンピックを観戦する際は、選手だけでなく、サポート役にも注目してみてはいかがだろうか。
(この企画は、石橋明日佳、小川原咲が担当しました)