粉と水だけで白玉作り「伝統のインスタント」…親子でも

武田さんが提案する「お月見みたらし団子」。子供たちが描いたイラストも添えた=東京都世田谷区(飯田英男撮影)
武田さんが提案する「お月見みたらし団子」。子供たちが描いたイラストも添えた=東京都世田谷区(飯田英男撮影)

ツクツクボウシの鳴き声に、夏の終わりを感じるこの時期。夏休み最後の思い出に、白玉作りはいかがだろうか。暑いうちは冷やしぜんざいなどで、9月21日の中秋の名月にはお月見団子として。おうち時間が増えた今、季節を感じ、心豊かなひと時を過ごしたい。(小林佳恵)

パンや洋菓子にも

寛永15(1638)年に創業し、白玉粉の製造などを手掛ける「白玉屋新三郎」(熊本県)。同社ではもち米を精米、洗米してから一晩水にさらし、翌日に水と一緒にゆっくりと、石臼でひく。

「米のデンプン粒子は非常に丸くて均質。水の流れの中で転がすことで、この優れた性質を破壊せずに製粉できる。お米のいいところを純粋化するような作業です」と話すのは、14代目当主、牛嶋伸夫さん(67)。

牛嶋さんによると、昔は水が冷たく、空気の乾いた冬場に作ったことから「寒(かん)ざらし粉(こ)」とも呼ばれ、「保存性に優れ、ザラザラした形状はダマにならずに水を吸収し、丸めて湯に投じればよい『伝統のインスタント』です」。

同社ではパンや洋菓子など、白玉粉を使った多種多様なレシピも提案。小麦粉の代わりに白玉粉とバターで、スープ作りなどに活用できる「ブールマニエ」ができるなど、小麦を使わない「グルテンフリー」の食事作りにも一役買ってくれるという。

子供と一緒に

幼児教室「リトルシェフクッキング」(東京都)代表を務める武田昌美さん(34)は、子供と作る「お月見みたらし団子」のレシピを提案する。

材料は白玉粉80グラム、木綿豆腐80グラム、砂糖大さじ1(12個分)。スプーンで混ぜ合わせた後、手で練ってから丸める。

子供と楽しむためのアドバイスも。「手がベタベタするといやになってしまうことが多いので、生地がなじむまではグーの手で優しくパンチするようにします。もしお団子に亀裂があったら、ゆでる前にこっそりと握って整えてあげてください」と武田さん。

沸騰したお湯に入れて4分30秒ゆで、白玉が浮いてきたらそっとすくって水を張ったボールで冷ます。フライパンに少量の油をひき、中火で片面1分30秒ずつ焼いて、みたらしやきなこ、あんこなどお好みの味をつければ完成だ。

また、武田さんは子供の喉に詰まらないよう、大皿で出すよりも一人一人に分けるなど、落ち着いて食べられる環境を整えた上で、「フォークで串から離して、ゆっくりよくかんで食べてね、と声掛けしたり、心配な時は小さく切って」と呼びかけた。

手作りならでは

「もちもち」の食感に魅せられた人々が集い、情報発信などを行う団体もある。「日本もちもち協会」代表の新多真琴さん(30)は「古来より、お餅は神様に献上するような特別な食べ物で、こうしたことから、もちもちした食感への愛着が育まれていったのかもしれません」と考察する。

同協会の白玉部門部長を務めるyamaさん=インターネット上での仮名、ハンドルネーム=(25)は「白玉はもちもち、はもちろん、表面はつるっとしており、ぷるぷるやしっとり、という要素もある」とした上で、「水の量をほんの少し変えるだけで、もちもち感が変わってくる。自分のベストな分量を探すのも、手作りならではの楽しさです」とほほ笑んだ。