主要118社アンケート

ウイグル問題、25%が未調査 北京五輪に懸念は5社

中国新疆ウイグル自治区での人権問題をめぐり、国内大手企業の少なくとも29社が人権侵害や強制労働に関連した事業があるかどうかを調査していないことが18日、産経新聞社が実施した主要企業アンケートで分かった。アンケートに応じた118社の25%に当たる。欧米諸国で企業に人権尊重を求める法整備が進んでいるが、サプライチェーン(供給網)の末端まで強制労働と関与がないことを証明することは困難で、対応の必要性を認識しながらも動きがとれない実情が透けてみえる。

供給網管理難しく

アンケートは7月29日から8月16日にかけて実施した。

ウイグル問題に関する調査についての質問には、29社が「調査をしていない」と答えたほか、「調査の結果、関連はなかった」が61社で全体の5割強を占めた。「調査し、関連があった」との回答も1社あった。ただ、無回答の企業も23%にあたる27社あり、企業が対応に苦慮している様子もうかがえる。

「強制労働に関連したリスク品目が多岐にわたり、労働者がウイグルからの強制労働者かどうかの判断も難しいことから調査方法を検討している」(不動産)

アンケートで「調査をしていない」と回答した企業は、こうコメントした。

未調査の企業29社に加え、調査に着手はしたが結果が出ていないケースを含む無回答の企業も27社あった。調査中という企業は「中国でのサプライチェーン上流の実態を把握することの困難さを痛感している」(運輸)とコメント、情報公開が進まない中国で事業や供給網にひそむ強制労働のリスクを管理する難しさを吐露した。

人権問題、日本企業にも影響

ウイグル自治区の人権問題では、少数民族が大規模に強制労働をさせられている疑いが浮上。米当局が新疆産綿の輸入禁止措置に違反した疑いで、衣料品店「ユニクロ」の男性用シャツの輸入を差し止めるなど日本企業にも影響が出始めている。事業活動に影響を及ぼさないようリスクの把握と対処が喫緊の課題だ。

実際に調査で関わりを確認した企業は「取引先にヒアリングした結果、一部メーカーで使用が確認された。当社が直接製造に関わる商品は素材変更を決めた」(小売り)と答えた。

取引先に人権問題があった際の対応を聞いた別の質問(複数回答可)では「取引を停止する」が32社、「是正を求める」が79社に上る。「対応は取らない」とした企業はなかった。

一方、北京冬季五輪については、中国政府のウイグル自治区での人権状況が改善しない限り政府代表らの外交的招待を拒むよう求める圧力が米国や英国で強まっており、スポンサー企業に対してもボイコットを求める声がある。

アンケートでは人権問題を理由に北京五輪への対応を改める可能性も質問し、5社(4%)が「対応を要する事象が生じれば対応する可能性はある」(不動産)など「ある」と回答した。「ない」は59社(50%)、無回答は54社(46%)だった。(田辺裕晶)