「新しい世紀」が2021年に始まった。英歴史学者のホブズボームは第一次世界大戦勃発の1914年からソ連崩壊の91年までを、米ソ冷戦を中心とする一つの時代に区分し、「短い20世紀」と呼んだ。私が「短い21世紀」と呼ぶ「新しい世紀」は米国と中国、民主主義国家と専制国家の対立が、その構造となる。ミャンマーにおける軍事政権の成立と、アフガニスタンにおけるタリバンの実権掌握は、民主主義が劣勢となっている兆候ともいえる。「短い21世紀」は、暗雲が立ち込める中で幕を開けた。
2つの分断された世界で経済的交流がほぼなかった米ソ冷戦と異なり、「新しい世紀」の特徴はグローバル市場という共有された世界で、米中がいかに多くの国や企業、人を魅了できるかという争いだ。「二つの世界」として米ソ共存は可能だった。米中は「一つの世界」の中での争いであり、協力できる部分がある一方、対立は米ソ以上に熾烈(しれつ)になるだろう。