<独自>国境20島、測量から半世紀超 中国など警戒 維持管理不可欠 - 産経ニュース

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<独自>国境20島、測量から半世紀超 中国など警戒 維持管理不可欠

報道公開された海上保安庁の測量専用機「あおばずく」=7月9日、宮城県岩沼市の仙台航空基地
報道公開された海上保安庁の測量専用機「あおばずく」=7月9日、宮城県岩沼市の仙台航空基地

国が保全・管理する484の国境離島をめぐり、島外縁部の測量から半世紀以上経過している島が少なくとも20島あることが20日、政府への取材で分かった。海洋安全保障をめぐって中国など周辺国の動きが活発化する中、管轄海域を決める根拠となる国境離島の現状が十分に把握できていない可能性が浮上した。定期的な測量の実施と状況変化に応じた適切な維持管理は不可欠となる。

政府関係者によると、海上保安庁が今回測量した北海道新冠(にいかっぷ)町沖の節婦南小島(せっぷみなみこじま)のように手つかずのまま存在が確認できなくなった島も複数存在している。北海道猿払(さるふつ)村沖のエサンベ鼻北小島は昭和62年に測量され、高さが平均海面から1・4メートルだったが、平成30年に地元住民らが目視できないことに気付いた。

300島は回答保留

産経新聞が内閣府総合海洋政策推進事務局と海上保安庁に484島の測量状況を確認したところ、今年4月、主に太平洋側の165島について回答があった。残る約300島は日本海、東シナ海側にあることから中国や韓国などへの影響を考慮しているとみられ、「慎重な検討が必要でめどが立っていない」などとして回答が保留されている。

165島の所在地は北海道40島▽青森5島▽岩手7島▽宮城2島▽茨城1島▽千葉2島▽東京80島▽静岡1島▽三重2島▽和歌山6島▽徳島1島▽高知9島▽宮崎9島-。調査時期が昭和20年以前だったのは東京7島、北海道2島、静岡1島の計10島で、30年代は北海道7島、茨城1島の計8島だった。

政府は同事務局が中心となって国境離島の施策を推進し、地図や海図上で無名だった207島に名称を付与し、所有者がいなかった273島を国有財産化した。保全・管理面では波や風など自然現象による浸食が懸念材料だが、地理的にアクセスが困難な島もあり、衛星画像での海岸線の状況確認などにとどまることも多い。

国連海洋法条約は、船の航行などで用いられる海図に記載した低潮線を領海や排他的経済水域(EEZ)の基線とするよう定める。低潮線は干潮時に最も低くなった海面と陸地の境界で、国内では海上保安庁が海図の作製や低潮線の測量を担っている。海図は海上安全が主要目的で国境離島などの小さな島は実際より大きく、目立つように海図に記載されているケースがあるという。

衛星画像で確認

このため、政府関係者の中には「『島が存在している』という注意喚起が目的なので、島が浸食されても海図を変更する必要がない」「消失しない限り問題ない。消失したとしても周囲の島で基線が引ける」などの消極的な声がある。

領海やEEZの海洋境界は中国による尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領有権主張などで注視されるようになった。海洋境界で日本と面する中国や韓国は資源開発などを狙った海洋権益確保の姿勢を強めている。日本は周辺国から日本帰属の島々について疑義を呈されないよう備える必要がある。

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