静岡県もきょう緊急事態 「自己封鎖」懸命呼びかけも抑制効果見通せず

記者会見で静岡県民に感染予防を訴える県病院協会の毛利博会長=19日、県庁(岡田浩明撮影)
記者会見で静岡県民に感染予防を訴える県病院協会の毛利博会長=19日、県庁(岡田浩明撮影)

猛威を振るう新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が20日から、静岡県内にも適用された。既に適用されていた、宣言に準じる蔓延防止等重点措置からの格上げとなるが、19日も新規感染者は677人と3日連続で過去最多を更新し歯止めがかかっていない。医療崩壊が現実味を帯びる中、9月12日までの宣言で人の流れや接触を減らして、感染を抑えられるのか。「見えない敵」との戦いは正念場を迎えている。

「外は感染リスクがかつてないほど高い時期になっている。(外出を自粛し、人との接触を減らす)セルフロックダウン、いわゆる『自己封鎖』をお願いします」。県健康福祉部の後藤幹生参事が19日、県庁での記者会見で県民に改めて自発的な行動規制を呼びかけ、同席した県病院協会の毛利博会長も感染力の強いデルタ株(インド由来変異株)による「第5波」について、こう訴えた。

「感染は制御不能の状況だ。感染して入院したくても、できない事態が迫っている。家族や知人が亡くなって初めて脅威に気づいても手遅れだ。そんな悲しい思いをしないよう、しっかりと自制してほしい」

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県が緊急事態宣言の適用対象となるのは昨年4~5月以来、2回目。今回は期間中、酒類やカラオケ設備を提供する飲食店への休業や、百貨店など商業施設の入場制限などを要請する。県や市町の観光施設も続々と休館が決まった。

要請に従わない事業者に出される命令にも違反すれば罰則が科されるが、感染抑止の基本戦略は外出自粛を要請する「お願いベース」にとどまるだけに、感染拡大が収まらない首都圏のように、抑止効果を疑問視する声が少なくない。重点措置適用の今月8日以降、酒類提供を停止し、時短営業に切り替えた静岡市葵区の居酒屋の男性は、宣言による抑止効果について「ないだろうね。みんなそう思っている」と漏らす。

おでん屋が並ぶ「青葉横丁」。大半の店が既に休業し、客足も途絶えている=18日、静岡市葵区(岡田浩明撮影)
おでん屋が並ぶ「青葉横丁」。大半の店が既に休業し、客足も途絶えている=18日、静岡市葵区(岡田浩明撮影)

既に休業している飲食店がある一方、18日夜時点で酒類提供を継続し、サラリーマンらがマスクを着けずに会食する居酒屋もある。

長期化で「自粛疲れ」「宣言慣れ」の〝蔓延〟は明らかで、連日の新規感染者数の最多更新にも、反応が鈍くなりかねない。

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そうした事態を想定し、県は「経験したことがない危機的局面」(川勝平太知事)、「外出は冒険」「(このままでは)21世紀が続かない覚悟でなければ『感染災害』を乗り切れない」(後藤参事)などと連日、危機感を強めたメッセージを繰り返し発信する。

これまで「3密回避」「1密でも避けて」と呼びかけていた次元に比べ深刻度は7月下旬以降、確実にアップした。とはいえ、施策に手詰まり感が漂い、宣言が心理的な部分にどう響くかは見通せない。制御不能な感染症流行との戦いは、制御できない「人流」との戦いともいえそうだ。