タリバンは「イランのような政教一致体制を志向」 佐藤和孝氏インタビュー

「ジャパンプレス」の代表、佐藤和孝氏
「ジャパンプレス」の代表、佐藤和孝氏

アフガニスタンを長く取材してきた独立系ジャーナリスト集団「ジャパンプレス」の代表、佐藤和孝氏(65)が20日までに電話取材に応じた。アフガンで権力を握ったイスラム原理主義勢力タリバンによる統治について「イランのように最高意思決定機関を据えた政教一致の体制を想定しているのではないか」と今後の見通しを語った。(カイロ 佐藤貴生)

タリバンは南西部の州都を制圧して以降、10日間で首都カブールを手中に収めた。アフガン政界に人脈がある佐藤氏は、タリバンが水面下で地方の知事などの有力者を次々と懐柔し短期間での実権掌握を図ったとの見方を示した。「米国などが多額の費用をアフガンに投じたが、地方には電気も行き渡っていない。腐敗した政府や軍の幹部が横領を繰り返してきたことへの地方の反発が、タリバンが力を盛り返す原動力になった」と指摘した。

アフガンの隣国パキスタンは、事実上の核保有国としてにらみ合うインドを見据え、〝裏庭〟に当たるアフガンへの影響力を確保する狙いからタリバンを支援してきたとされる。しかし、今回のタリバンの電撃的な権力掌握にパキスタンの意向がどの程度働いたかは不明だ。

佐藤氏は「タリバン政権が国をまとめ上げた場合、パキスタンはタリバンを制御できなくなる可能性がある」と予測。インドとのパワーバランスも崩れて両国に挟まれるパキスタンが窮地に追い込まれる事態も起き得ると分析する。

タリバンは2001年、米中枢同時テロを実行した国際テロ組織アルカーイダと連携していたため、米軍の攻撃の標的になった。佐藤氏は「タリバンは教訓を学んでいるだろうから、欧米の介入を招くような攻撃を行うことは現段階では考えにくい」と述べた。

タリバンの構成主体はアフガンの主要民族パシュトゥン人で、血縁と名誉を重視する独自の規律を持つ。佐藤氏は、タリバンの思想はこの規律とイスラム原理主義の融合だとし、「今後の情勢をみないと分からないが、タリバンは表面上、他民族との協調を装いながら専制を進めるのではないか」と語り、イスラム教シーア派の法学者が支配するイランのような体制を目指す可能性を指摘した。