自民若手「心が折れそう」 衆院選前の逆風に

あいさつ回りで農家の沢田直樹さん(右)から農作物の収穫状況などについて聞く小林鷹之衆院議員(左)=8月5日、千葉県八千代市(長嶋雅子撮影)
あいさつ回りで農家の沢田直樹さん(右)から農作物の収穫状況などについて聞く小林鷹之衆院議員(左)=8月5日、千葉県八千代市(長嶋雅子撮影)

次期衆院選を目前に控え、自民党の国会議員が焦りを募らせている。政府の新型コロナウイルス対策への批判などで菅義偉(すが・よしひで)内閣の支持率の低迷が続き、東京五輪開催による政権浮揚効果も得られなかったからだ。特に選挙基盤の脆弱な若手は大きな不安を抱えている。

「コロナ対策がすべて後手に回っているよね」

8月上旬、真夏日の千葉県八千代市。コロナ禍の窮状を聞くために訪れた自民の小林鷹之衆院議員=当選3回、千葉2区=に対し、工業用ゴム製品などを販売する会社社長の中野秀昭さん(50)は苦言を呈した。「首相は中小企業の厳しさが分かっているのかな。比例代表で自民に入れるかは決めてないよ」と表情を曇らせる中野さんに、小林氏は深々と頭を下げた。

元財務官僚の小林氏は「日本の国力を高めたい」と自民の候補者公募に応じた。野党時代の平成22年に千葉2区の自民候補となって以降、地元をこまめに回る。この日も午前6時半から約2時間駅頭に立ち、午前と午後、3時間ずつ住宅街を歩いた。

党では経済安全保障などに関する9つの会議で事務局長や座長を務め、政策立案能力が評価される若手のホープだ。党務の合間を縫い、週末は秘書と手分けして1日400~500軒回る。自民支持層ですら政権に不信感を募らせる現状があるが、小林氏は「大変な状況だが選挙は最後は自己責任。歩きに勝る選挙はない」と語る。

首都圏では、新型コロナ特別措置法に基づく緊急事態宣言の発令や蔓延防止等重点措置の適用期間が長期化し、医療提供体制の逼迫だけでなく、経済にも深刻な影響が広がっている。東京都内の選挙区選出の若手議員は「1都3県では、結構な確率で(自民議員が)討ち死にしてしまうのではないか」と不安を募らせる。

自民は、次期衆院選の行方を占うとされた7月の都議選で過去2番目に少ない33議席に終わり、公明党と合わせ過半数を確保するという目標に届かなかった。東京五輪は一定の成功を収めたものの、感染力の強いデルタ株の急拡大やワクチン接種の遅れに対する批判にかき消され、菅政権への風当たりは強まっている。

コロナ禍で政治活動は制約され、集会が開きにくいため、あいさつ回りに力を入れる議員が多い。しかし、厳しい意見をぶつけられ、若手議員は「心が折れそう」と本音を漏らす。

民主党から政権を奪還した平成24年に初当選した現在の衆院当選3回生議員は、追い風の選挙しか経験しておらず、初めての逆風に戸惑う。それでも当選回数を重ねた与党幹部は有権者の声に触れる重要性をこう説く。

「政治家は時代の変化をつかむセンサーを磨く必要がある。若い議員は10年は現場を歩かないとだめだ」(長嶋雅子)