一聞百見

女性を育て、社会を変える 前大津市長・越直美さん

もう一つ、10年後を区切りにする理由がある。

「私が集中できるのが10年だからです。これまでの経験からです」

大学院修了後に司法研修所を経て平成14年に東京の西村総合(現・西村あさひ)法律事務所に入所し、大津市長選出馬直前の23年11月まで9年間勤めた。24年1月には大津市長選に出馬して勝利し、令和2年1月まで2期8年間務めた。

市長選出馬には2年間迷っている。当時、米国に留学中だったが、「世の中をよくしたい」と考えていた。具体的には「日本の女性が『仕事』か『子育て』かの二者択一を迫られるのではなく、自由に選択できる社会にしたい」と。たどり着いたのは故郷の市長になることだった。ただ、落選の不安や恐怖があった。

背中を押してくれたのは留学先のハーバード大ロースクールの友人だった。

「『迷うのはラッキーなこと。自由ってことなんだから』や『コーポレートロイヤー(企業法務専門の弁護士)は代わりが利くが、市長はあなたしかできない』といわれました。うれしかった」

市長退任で職員と握手する越さん=令和2年1月、大津市役所(花輪理徳撮影)
市長退任で職員と握手する越さん=令和2年1月、大津市役所(花輪理徳撮影)

市長は1期で結果を出して辞めるつもりだった。しかし、1期目の終わりに近づいたとき、市民との約束が果たせていないと思い、2期目に出馬することを決めた。同時に、次は必ず結果を出し、3期目に出ないと決めた。

「市長をしていて嫌だなとか、辞めたいとか思ったことは一度もありませんでした。ただ、(3期の)12年も続かないと。仮に続けたとすれば、不利益を被るのは市民であるとも思っていました」

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