北京春秋

厳しく難しい「ゼロコロナ」

1日、北京市内の観光地「頤和園」。感染対策のためマスク着用の来場者の姿が目立った(三塚聖平撮影)
1日、北京市内の観光地「頤和園」。感染対策のためマスク着用の来場者の姿が目立った(三塚聖平撮影)

中国でも感染力が強いインド由来の変異株(デルタ株)の市中感染が広がり緊張が再び増した。7月下旬から8月上旬の北京市内の感染確認者は計10人足らずだったが、感染者が確認された地域は封鎖され、市外との移動制限も復活した。

わが家は、7月末に夏休みで山東省青島に行く予定を見送った。感染リスクよりも、中国の防疫対策が全く予見できないことを考慮した末の決断だった。旅先で対策が突然強化されて宿泊を拒否されたり、帰宅後に隔離を求められたりする可能性を考えると旅行どころではないと判断した。実際、集団感染が起きた都市から北京に戻り2週間の自宅隔離を迫られたケースも耳にした。「電車に乗りたい」と言っていた2歳の長男は残念そうだったが…。

こうした強権的な手法で封じ込めを図る「ゼロコロナ」政策を続ける中国で、軌道修正を求める意見も出ている。世界的な流行長期化が見込まれる中、海外との往来正常化へ「ウイルスとの共存」論を一部の専門家が提唱しているのだ。

ゼロコロナ策を終えようとすることは経済コストを考えれば合理的だが、中国共産党は徹底的なコロナ対策を成果として喧伝(けんでん)し、「感染の心配がない」と支持する庶民も多い。習近平政権は感染封じ込めか往来正常化かの難しい判断を迫られている。(三塚聖平)