主張

教員免許更新制 教育再生の流れ止めるな

まさか教育再生の取り組みを、否定するつもりではあるまい。

幼稚園と小中高校などの教員免許に10年の有効期限を設けた教員免許更新制について、文部科学省が廃止する方向で検討に入った。中央教育審議会の答申を得て、来年の通常国会に関連法改正案を提出する考えだ。

教員免許更新制は、教育再生を掲げた第1次安倍晋三政権が平成19年に導入を決定し、21年度から実施されてきた。時代に応じた教員としての資質を維持し、向上させるための制度である。

それをなぜ、廃止するのか。

以前の教員免許は、一度取得すれば終身有効だった。指導力が落ちている教員も学校に居残ることができ、学校不信の一因にもなっていた。

そこで10年ごとに更新講習を義務付け、受講しないと免許を失効することにした。教員の負担が増すとして日教組などは猛反対したが、教育再生に不可欠とし、安倍政権が断行した。

今回、文科省は廃止を検討する理由の一つに、教員の負担増をあげる。それでは日教組と同じではないか。

いじめ問題への対応など、教員に求められる資質はその時々で変わる。新型コロナウイルス禍ではオンライン授業など情報通信技術の習熟が喫緊の課題となった。むしろ更新講習の一層の活用が求められよう。

現行の制度に見直しの余地がないとは言わない。大学などで開催される講習を30時間以上、自己負担で受講しなければならず、教員が負担に感じているのも確かだ。文科省の調査では、講習を受講した教員の5割以上が内容面に満足しながら、時間や費用を含めた総合的満足度は低く、約6割が不満を抱いていた。

だからといって廃止するのでは短絡に過ぎる。オンラインで受講できるようにしたり、費用を公費負担にしたりすれば、教員の評価も大きく変わるはずだ。期間も10年ごとではなく、1~2年ごとに短時間の講習を積み重ねていく方式にしてはどうか。

近年、安倍政権に対する批判から、これまでの政策を覆そうとする動きが一部にみられる。文科省がそれに与(くみ)していいのか。教育再生の流れを止めてはならず、教員免許更新制のより効果的な運用を図るべきだ。