「国内初のデジタルバンク」をうたい5月末に開業したふくおかフィナンシャルグループ(FG)傘下の「みんなの銀行」(福岡市)。取り込みを狙う若年層を中心にSNS(交流サイト)などで話題が広がり、約2カ月で8万5千口座が開設された。煩雑な手続きなく、スマートフォンのアプリだけで利用者に合った金融サービスが受けられることを売りに全国に裾野を広げるが、今後は収益化が課題となる。
みんなの銀行は5月28日にサービスを開始した。7月末時点で、アプリのダウンロード数は19万件。口座開設は15歳から可能で、開設された8万5千口座のうち、幼いころからインターネットに親しんだデジタルネーティブ世代(15~39歳)が約8割を占める。
広告は新聞やテレビではなくウェブ中心で、「ふくおかFG」や「九州」という言葉は使わない。店舗を持たないため、県境に関わらず、顧客ターゲットは全国に広がる。口座開設も、各都道府県の人口動態に合わせて全国ほぼ等しく分布している。
現在「お友だち紹介プログラム」と題し、口座開設を紹介した人、された人双方に現金1千円を贈呈するキャンペーンを展開している。同銀行の分析によると、1人の高校生がツイッターにキャンペーンについて投稿すると、約2万人に拡散した。
初年度の口座開設目標は40万口座を掲げており、永吉健一副頭取は「ほぼ計画通りにユーザーを獲得できている」と話す。
煩わしさ排除
口座を開設すると普通預金のほかデビットカード、他行の口座やクレジットカードなどの取引履歴も記録できるサービスが利用できる。すべてアプリで完結し、通帳やキャッシュカードは発行しない。