ポトマック通信

アフガンの「自由」の行方

初の記者会見をするタリバンのムジャヒド報道担当者(左端)=17日、アフガニスタン・カブール(共同)
初の記者会見をするタリバンのムジャヒド報道担当者(左端)=17日、アフガニスタン・カブール(共同)

アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンが再び実権を掌握した。バイデン米政権による取り返しのつかない失敗だ。タリバンは今後、独自のイスラム法解釈に基づく厳格な統治を進め、彼らが主張するところの「秩序」を回復していくのだろう。

最初にアフガニスタンを訪れたのは、初めて特派員として海外に赴任して数週間後の1997年春だ。タリバンが全土支配を目前にしているとの報に、隣国パキスタンから国連機に乗り込んで首都カブールに入った。翌日、車で北方の前線地帯に赴き、反タリバン勢力との戦闘を取材した。

タリバンの布告では、歌舞音曲は禁止。前線までの各所に設けられた検問所では、音楽入りのカセットテープを没収する「テープ狩り」が行われていた。

だが、ある検問所を過ぎたとき、雇った若い運転手はおもむろに座席の下からカセットを取り出し、車載プレーヤーでインドの歌謡曲をかけ始めた。

「あんな規則、守っていられるわけないだろ」

見つかれば、投獄などの処罰が待つ。それでも若者は音楽を求めた。

アフガンは今後、急速に「復古色」を強めていくだろう。だが、この20年間で「自由」の精神に触れた市民らは、タリバン支配にどう向き合うのか。注視していきたい。(黒瀬悦成)