子供のSOS、見逃さないで 不登校新聞が緊急アピール - 産経ニュース

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子供のSOS、見逃さないで 不登校新聞が緊急アピール

子供の自殺や不登校について会見する「不登校新聞」編集長の石井志昂氏=19日午後、東京・霞が関(佐藤徳昭撮影)
子供の自殺や不登校について会見する「不登校新聞」編集長の石井志昂氏=19日午後、東京・霞が関(佐藤徳昭撮影)

夏休み明けに児童生徒の自殺が増えることを受け、不登校や引きこもりの専門紙を発行するNPO法人「全国不登校新聞社」は19日、保護者や教職員らに対し、「学校へ行きたくない」という子供の声に理解を求める緊急アピールを発表した。新型コロナウイルス流行による一斉休校などの影響を受け、小中高校生の自殺者が過去最多となる中、周囲の大人には自殺につながるSOSを見逃さない対応が求められている。

「登校に向けて恐怖心が増していく。落下の最中よりもその直前が怖いジェットコースターに似た心理」

自身も不登校経験者である不登校新聞の石井志昂(しこう)編集長(39)は19日、東京都内で行った記者会見で、新学期を前に苦しむ子供の心境をこう説明した。

緊急アピールでは、子供たちが発した不登校の訴えを「命にかかわるSOS」としたうえで、子供の命を守るために「訴えを見逃さないで」と呼びかけた。

また、訴えを受けた際の対処法として、文部科学省が周知している「TALK(トーク)の原則」に沿った対応も求めた。この原則は「言葉に出して心配していることを伝える」(Tell)、「『死にたい』という気持ちについて率直に尋ねる」(Ask)などの頭文字をつなげたものだ。

厚生労働省などによると、昨年の小中高校生の自殺者は499人で過去最多となった。特に一斉休校明けの6月(45人)と、夏休み明けの8月(65人)は前年の2倍近くに急増。今年も6月までの上半期に234人となり、昨年同期(203人)を上回っている。

こうした自殺者の急増について、文科省の有識者会議が6月にまとめた提言は、新型コロナ感染拡大による家庭や学校の環境変化などを理由に挙げた。

不登校は自殺につながる予兆の一つだ。石井氏によると、不登校の子供らを受け入れるフリースクールの一つでは今年5月の問い合わせが一昨年の約1・5倍に急増しているといい、コロナ禍前に比べて不登校も増えている可能性が高い。

現在の感染拡大「第5波」では子供の感染リスクも急拡大しており、石井氏は「せきをしただけで教室がぴりぴりする状況では、『コロナいじめ』も心配だ」と懸念を示す。そのうえで「朝起きられなかったり、体調を崩しやすくなったり、普段とは違う子供の様子がSOSであるケースも多い」と指摘した。

要因さまざま

子供たちが不登校となる理由はさまざまだ。いじめや友人関係、学業の不振といった学校生活をめぐる問題が背景となる場合がある一方、親子関係や生活の急激な変化など家庭環境も大きな要因となり得る。

文部科学省の調査によると、不登校となっている小中学生は令和元年度、約18万1千人で過去最多を更新。高校生は約5万人で前年度を下回ったが、横ばいが続いている。

要因は小中高校とも「無気力・不安」が最多。「友人関係」も多く、小中学生では「親子のかかわり方」、高校生では「生活リズムの乱れ」なども目立つ。

新型コロナウイルスの流行が始まった2年度以降の全国的なデータはまだまとまっていないものの、児童生徒の自殺予防策を審議した文科省の有識者会議はコロナ禍で子供のストレスの高まりを指摘している。

一斉休校や在宅勤務の拡大を受け、子供が保護者と家庭で過ごす時間が増えたことで、家族間の衝突やストレスが増大。一方、学校でも教員の多忙化や行事の中止といった環境変化で息抜きやストレス解消の機会が減っているとされ、感染拡大が続く中、不登校が増える可能性がある。