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#国際課税ルール協議 「歴史的合意」か「骨抜き」か

7月10日、イタリア北部ベネチアで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議に参加する麻生太郎財務相(右端)ら(英財務省提供・共同)
7月10日、イタリア北部ベネチアで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議に参加する麻生太郎財務相(右端)ら(英財務省提供・共同)

経済のグローバル化とデジタル化に対応した新たな国際課税ルール協議が10月の最終合意を目指して進んでいる。7月の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は直前の経済協力開発機構(OECD)の会合で示された大枠合意を支持。「15%以上」の法人税の最低税率や、巨大IT企業などの税逃れを防ぐデジタル課税の導入で一致した。ただ、制度の詳細を含む一部の課題の解決は先送りされており、最終合意が真の「歴史的合意」か、妥協だらけの「骨抜き」となるのかが注目される。

■GAFAに不満

新たな国際課税ルール協議が始まったのは2012年。米グーグルやアップルなど「GAFA」と呼ばれる巨大IT企業を念頭に、企業の納税の適切さに関する問題意識が生じたことがきっかけだった。

約100年前に固まった既存の国際課税ルールは、工場や支店など物理的拠点の存在を課税根拠としている。これに対してGAFAは拠点がない国にも国境を越えてサービスを提供。大きな収益を上げる一方で、法人税率が低い国や法人税が免除されるタックスヘイブン(租税回避地)に拠点を置いたり、収益を移したりして節税してきた。各国は適切な課税ができず「アマゾンで本を買って、日本の道路などを使って届いても税金は一文も落ちない」(麻生太郎財務相)などと不満が高まっていた。

法人税率では、企業誘致や自国企業の流出防止を狙う先進国を中心に、40年近く引き下げ競争が繰り広げられてきた。税負担軽減が企業を活性化させ、売り上げ増が税収増につながるとも期待されたが、「底辺への競争」(イエレン米財務長官)とされる消耗戦をもたらしただけだった。

潮目を変えたのは新型コロナウイルスの世界的な感染拡大と今年1月のバイデン米政権の誕生だ。コロナ対策で財政が悪化して税収増を急ぐ各国と、国際課税ルール協議に後ろ向きだった米国のトランプ前政権からの路線転換で、合意への機運が一気に高まった。

■利害調整は難航も

それだけに各国の財務相らは今回の合意を「歴史的」と歓迎する。しかし23年の実施を目指す法人税の最低税率とデジタル課税の導入に向けた課題はなお多い。