中国国内で最近、新型コロナウイルス対策に関する注目の論争が行われた。発端は先月29日、復旦大学付属華山医院感染科主任の張文宏医師が微博(中国版ツイッター)で行った発言である。彼はその中で、「コロナウイルスは消滅することなく長期間にわたって流行するだろう」との認識を示した上で、「われわれは今後、ウイルスと共存すべきである」と述べた。張医師はこれまで、最前線でコロナウイルスと闘ってきた医療界の代表的な人物であるだけに、彼の口から出た「コロナとの共存論」は国内で直ちに大きな波紋を呼んだ。
昨年2月にコロナウイルスの感染拡大を認め、それとの闘いを宣言して以来、中国政府は一貫して、コロナの存在を一切容認しないという「ゼロコロナ」政策を強行してきた。1つの区域で感染例が一つでも見つかったら、この区域を直ちに封鎖・隔離することによってウイルスの完全撲滅を目指すという、かなり乱暴なやり方である。
例えば、あるマンションの一室で感染者が一人でも出たらマンション全体を直ちに封鎖して住民全員の出入りを禁じる。あるいは町の一つに複数の感染者が確認された場合、町全体がすぐにロックダウンされるのである。