稲葉監督が作り上げた「良いチーム」 東京五輪「金」で北京の借り返す

東京五輪の野球の表彰式で、金メダルを手に笑顔を見せる稲葉篤紀監督ら日本の選手、首脳陣ら=横浜スタジアム(川口良介撮影)
東京五輪の野球の表彰式で、金メダルを手に笑顔を見せる稲葉篤紀監督ら日本の選手、首脳陣ら=横浜スタジアム(川口良介撮影)

東京五輪で野球日本代表「侍ジャパン」は野球が正式種目になって以降、初の金メダルを獲得した。指揮を執った稲葉篤紀監督は「スピード&パワー」を掲げ、就任から4年をかけてチームを作り上げた。プロ野球公式戦の視察などを通じて、選手と積極的にコミュニケーションを図り、五輪本番では指示を出す前に監督の意図を理解して動くなど成熟したチームに成長。稲葉監督は「良いチームができた」と万感の思いを口にした。

「金メダル。そこしか目指していない」。2017年7月の監督就任会見。目標を聞かれた稲葉監督はきっぱりと言い切った。

13年前の北京五輪。選手として舞台を踏んだ。結果はメダルなしの4位。大きな敗北感を味わった。当時、着用していたユニホームは、玄関の一番目立つ場所に飾った。嫌でもあの時の悔しさがよみがえる。「五輪の借りは、五輪で返す」。就任以降、繰り返し言い続けてきた。

日本は盗塁や犠打を駆使する「スモールベースボール」で、世界と渡り合ってきた。近年の国際大会は、本塁打で勝敗が決する場面も多い。「大事な部分はしっかりと継続しながら、パワーもつけていかなくてはいけない」。今までの野球スタイルを発展させた「スピード&パワー」を強化方針に掲げた。

ソフトバンクの柳田、ヤクルトの山田ら足も使えて、一発を打てる選手を招集。東京五輪では、犠打や盗塁で着実に走者を進める一方、1次リーグのメキシコ戦で山田が3ランを放つなど、スピードとパワーを兼ねそろえた野球を体現した。

東京五輪の野球で優勝が決まり、胴上げされる日本の稲葉篤紀監督=横浜スタジアム(松永渉平撮影)
東京五輪の野球で優勝が決まり、胴上げされる日本の稲葉篤紀監督=横浜スタジアム(松永渉平撮影)

「良い選手を選ぶのではなく『良いチーム』を作りたい」。これも指揮官が、何度も口にしていた言葉だ。選手とコミュニケーションを図るため、毎年、春季キャンプを訪れ、公式戦の視察に足を運んだ。

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