異常気象が世界で猛威、IPCCも警鐘

ギリシャ・エビア島で起きた山火事で、消火に当たる消防士=10日(ロイター)
ギリシャ・エビア島で起きた山火事で、消火に当たる消防士=10日(ロイター)

【ロンドン=板東和正】熱波に起因する山火事や豪雨による洪水などの異常気象が世界各地で相次いでいる。気候変動の影響が指摘される中、国連は、その原因は人類が排出した温室効果ガスであると断定。異常気象を食い止めるために排出量削減などの早急な対応を求めている。

AP通信によると、ギリシャ全土で3日から記録的な熱波による山火事が多発した。首都アテネ近郊のエビア島ではこれまでに4万9000ヘクタール以上が焼け、6万人を超える市民が避難した。

ギリシャのミツォタキス首相は9日のテレビ演説で「未曽有の規模の自然災害だ」と強調。「過去約30年で最悪の熱波」(AP)が国内を襲ったことを踏まえ、気候変動が影響しているとの認識を示した。

大規模な火災は気温が上昇する各地で次々と起きている。イタリアでは南部シチリア島で11日に48・8度が記録され、欧州での観測史上最高気温を更新。同国では7月下旬以降、100カ所以上で火災が発生している。熱波に見舞われた米西部カリフォルニア州、カナダ、トルコでも7~8月にかけ山火事が拡大した。

気温上昇は大気中の水蒸気量を増やし、豪雨も引き起こすとされる。ドイツやベルギーでは7月中旬、豪雨による洪水が広がり、200人以上が死亡。中国河南省でも同月に300人以上が豪雨で犠牲になった。

米海洋大気局(NOAA)は今月13日、7月の世界の平均気温は16・73度と142年間の観測史上で最も暑い7月だったと公表。スピンラッド局長は「気候変動の影響で地球が破滅的な道を歩んでいる」と危機感をあらわにした。

国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第1作業部会は今月9日に発表した報告書で、産業革命前(1850~1900年の平均)と比べた世界の平均気温の上昇幅が2021~40年に1・5度に達するとの見通しを公表。人類が排出する温室効果ガスが影響を与えていることに「疑う余地がない」とした。

報告書は温室効果ガスの排出量に応じたシナリオを示し、排出量を今世紀半ばに実質ゼロにすれば81~2100年に上昇幅を1・4度に抑えられると予測。一方で削減策を講じなければ81~2100年に気温が4・4度上昇すると分析した。

報告書は、10年に1度の熱波が発生する頻度は1・5度上昇した場合には産業革命前の4・1倍、4度上昇では9・4倍に上ると試算。豪雨の発生頻度は、それぞれ1・5倍と2・7倍に、干魃(かんばつ)もそれぞれ2倍と4・1倍になるとした。

報告書を受け、グテレス国連事務総長は「人類への警鐘だ」と訴えた。

10月末から開催される国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では温室効果ガス削減策の強化が大きな論点となる方向で、議長国の英国のジョンソン首相は「次の10年が地球の未来を守るために極めて重要なものとなる」と各国に一段の努力を促している。