厚生労働省に新型コロナウイルス感染症対策を助言する専門家組織は18日、会合を開き、感染力が強いインド由来の変異株(デルタ株)が占める割合が全国的に9割以上になったとの推計が示された。会合では「ほぼ置き換わったと考えられる」と結論付けた。
座長の脇田隆字(たかじ)・国立感染症研究所長は会合後、「災害医療に近い状態が継続している。デルタ株はこれまでと違うレベルのウイルスだという危機感の共有が必要だ」と話した。
感染研の推計では、デルタ株への置き換わりは、8月中旬時点で首都圏では98%、関西では92%程度。主要都市では沖縄で99%、東京と埼玉98%、神奈川と千葉97%、京都95%、大阪91%、北海道85%になった。
感染研は、英国株が主流だった5月と7、8月の年代別感染リスクの変化についても分析。ワクチン接種が進む65歳以上は5割程度に減少したものの、年代が若くなるにつれて上昇し、40、50代は1・5~2倍程度で、10~30代はおおむね2倍を上回った。
会合では、東京都内の主要繁華街で夜間の人出が緊急事態宣言前に比べ35・8%減少したとのデータが提出された。政府の対策分科会が提言した「約5割減」に届いておらず、脇田座長は「若者ではなく40~64歳の中年の人出が多い」と指摘した。