ロシアがタリバンと協調姿勢 「裏庭」の安定確保 反欧米アピールも - 産経ニュース

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ロシアがタリバンと協調姿勢 「裏庭」の安定確保 反欧米アピールも

ロシアのラブロフ外相=7月22日、モスクワ(ロイター)
ロシアのラブロフ外相=7月22日、モスクワ(ロイター)

【モスクワ=小野田雄一】ロシアが、アフガニスタンを掌握したイスラム原理主義勢力タリバンとの協調姿勢を強めている。タリバンと良好な関係を築き、「裏庭」とみなす中央アジアや自国へのイスラム過激派の流入を防ぐとともに、アフガンへの影響力を強める思惑とみられる。同時にロシアは、タリバンの勝利を「欧米による一方的な民主化が問題を生む」とする主張の正しさを裏付けているとして、国内外にアピールする構えだ。

ラブロフ露外相は17日、記者団に対し、タリバンが新政権を樹立した場合の対応について、「承認を急がない」とする従来の立場を改めて示す一方、タリバンが各民族の融和や女性の権利尊重などの方針を打ち出したことを「前向きなシグナルだ」と評価。アフガンの首都カブール陥落後の状況についても「非常に穏やかで、タリバンは法的秩序を守っている」と述べた。

また、欧米諸国がアフガン勤務の外交官を退避させる中で、カブールにある露大使館のジルノフ大使は同日、タリバン指導部と会談。ジルノフ氏によると、タリバン側は露大使館の安全を保証し、ガニ政権時代と同様の活動を認めたという。イタル・タス通信が伝えた。

ロシアは2003年、イスラム教徒の多い露南部チェチェン共和国の独立派勢力を支援したとしてタリバンを「テロ組織」に指定し、対決姿勢を取った。ただ、近年はタリバン幹部と会談を行うなど関係を強化。今年7月には、訪露したタリバン幹部から「タリバンはロシアや中央アジア諸国に不利益を与えない」とする確約も得ていた。

ロシアがタリバンとの関係改善を進める背景には、国家安全保障上の観点のほか、米露対立が強まる中、反米勢力であるタリバンの重要性が高まったことがある。

ロシアは従来、「欧米は自らの価値観を他国に押し付け、世界を一極支配しようとしている」とし、こうした手法が「対立と混乱を招く」と批判し、多様な政治体制が共存する「多極世界」を構築すべきだ-と主張してきた。そのため、アフガンで米国を後ろ盾としたガニ政権にタリバンが勝利したことは、こうした主張を後押しするものとみているようだ。

ラブロフ氏は17日、「米国の最大の失敗は、数百年にわたる地域の伝統を無視し、民主主義と呼ぶ自分たちの規範をアフガン人にも押し付けようとしたことだ」と指摘した。